立夏

『探索の旅』
わわわっ!
また麗ちゃんの姿が
音もなく消えた!
おやつのチョコレートクッキー製作中の
謎の事件──
これがまさか
噂に聞く神隠し?
それとも
いつものストライキ
バレンタインが苦手で
甘い甘い雰囲気から
ちょくちょく逃げちゃう麗ちゃん。
あんなに好きなものだったら
ラブラブなのにネ。
え!?
ストライキはしないって
言ってたのー!?
じゃあちょっと
すねて一人になりたいだけ?
麗ちゃんはいつも
一生懸命。
あの子の辞書には
まあいいか!
の文字と
ほどほど!
の文字の二つが
見つかりにくい気がする──
リッカもそういうところあるから
わかるなあ!
どうしても欲しいお菓子の前で
だだをこねた子供時代や、
世界に一つしかない大事なものを前に
どうしても一緒にいてほしいとだだをこねる毎日──
きっと麗ちゃんの世界には
他の何にも代えられない
大事なものがいっぱいあるの。
とっても大変そう。
リッカはハラハラしながら
見つめている──
その大事な
いとおしいきらきらするようなものを。
手を貸して
助けてあげたくなることが時々ある何かを──
そして、いつか
ぜんぜん何にも折れず、くじけなかった
麗ちゃんが胸を張って
どうだ!
自分の信じてきた生き方は
何も間違っていなかっただろう、
大事なものを
守り抜いたぞって
どやあするところに居合わせて
おそれいりましたと
頭を撫でてみる日が来たらとってもいい。
いいないいな、
早くそうなるといいな!
さあ、早く探さなくっちゃ──
立夏の大事な
難しくてかわいい麗ちゃん。
どこに隠れても
リッカは逃がさない。
見つけ出すまで追いかけるんだーい。