小雨

『決意』
ぶるぶる……
こ、これが
寒さではなくて
武者震い……
お兄ちゃん、小雨はやります。
できるかな──
お兄ちゃんに頼れないこと。
でも
やらなくちゃ──
あ!
お兄ちゃん!
あの──
ごめんなさい。
実は小雨は
お兄ちゃんに内緒のことがあって。
ううん!
そのうちちゃんと
お話しますけど。
って、
この甘い匂いで
気付いてしまったでしょうか。
ぱんぱんに荷物が詰まった
買い物袋から
どことなくビターな
カカオの香り。
……
おねがい、
あと一か月もないくらいの
間だけ──
知らないふりをしていてほしいんです。
不器用で
あわてんぼうの小雨が
フライングしたせいで
お兄ちゃんを驚かせてあげたいみんなの気持ちが
台無しになってしまったら
いけないので……
でも、本当のことを言うと
小雨はお兄ちゃんに頼らずに、
失敗しても話を聞いてくれる
人もいないままで──
成し遂げることができるのか、
とっても不安なの。
だけど、
だけど──
小雨はそうしたいと思ったの。
お兄ちゃん……
せめておなかを壊さないくらいのものが
作れるように
練習を頑張りますね。
よしっ!
小雨の今年最初の
大きな大きな目標は
お兄ちゃんのおなかを守る!
ぶるぶるするけど……
がんばります!