夕凪

『とくべつ』
たっだいまー!
とーっても寒かった!
家が恋しくて
夕凪の駆け足は
今年一番の速さだった。
と、
帰ってきたら
今日のおやつは
氷柱お姉ちゃんの手作り!
めずらしい!
青くてシンプルな柄のエプロン。
几帳面に結んだ三角巾──
りりしく引き締まったお顔。
バニラの香り。
これは冗談を
言ってるんじゃなさそうだ!
本当に氷柱お姉ちゃんがおやつを作っている。
年初めの一番のテストが
終わったからだって。
こんなこともあるんだね……
もしかして、雪が降ったのは
氷柱お姉ちゃんが珍しいことをしたからじゃないの!?
天まで動かす
お姉ちゃん!
さすがお天気お姉さんの妹!
って褒めてたら
そしたら、氷柱お姉ちゃんは言ったの。
夕凪がテストで百点取った時ほど
大雪じゃなかったでしょう。
だって。
なるほど、確かに。
そこまで珍しくはないのかー。
夕凪ほどじゃなかったね。
氷柱お姉ちゃんの作る
カップケーキはおいしい。
ほっかほかで
寒い日は、やっぱりこれが食べたいの。
世界で一番おいしいおやつ!
蛍お姉ちゃんや、春風お姉ちゃんや
ユキちゃんの手作りと並んで一位!
すごいことじゃない?
こんなに上手な人ばっかりで
夕凪は何にもしなくていいんだもの。
これからは氷柱お姉ちゃんも一緒に遊べるんだって。
毎日カップケーキを作ってもらおうっと!