『選択』
氷柱の願いで──
テストのために
今日は一日勉強をしたいということだ。
がんばっているな。
そういうわけで
子供たちの相手をするのは私の番だ。
氷柱もみんなに好かれる
良い子で──
私で代わりができるかは
わからない。
でも、やるだけやってみないといけない時は
あるものだからな。
設定のしっかりしたおままごとなら
氷柱のほうがふさわしいが
その場で状況を考える行き当たりばったりに
巻き込んでいけば
私も負けずに
子供を楽しませることができるか──
少なくとも私が楽しむことはできるだろう。
氷柱の場合も私も、
たぶん子供には──どちらも必要で
喜んでもらえるものだと
思いたいな。
そう──例えるなら
どらやきにするか
きんつばか
どちらもいいもので迷う──という瞬間が
オマエにもあるだろう?
いや──私としたことが
どらやきかきんつばに自分を例えるとは
少し言い過ぎだったかな。
どうだっただろうか──
私でもみんなを楽しませることは
できていたかな。
うちの妹たちはみんな良い子で
氷柱の都合を聞いて
どうしてもとは言わなかったが
さて──私でよかったのか答えは聞けなかったな。
夕飯の後のデザートもそこそこに
氷柱は部屋へ戻ったから
ゆったり迎えるこの時間の話し相手も
オマエには選ぶことはできない。
私が楽しむ自信はあるのだけどな──
どらやきときんつばと──
それから大福もいいものだという話に
興味はあるか?
冬の夜は長く、暗く
そして漆黒の宇宙めいて静かで
その長い腕に私たちを抱き、包み込む。
こんな時に暖かな部屋の中で
楽しい話ができたら
どんなに素敵なことだろう──と思う。