吹雪

スタンドアローン
たとえば──
回転式磁気ディスクか半導体メモリ、
あるいはそれ以外のメディアを利用した
記憶領域に書き込み可能なコンピュータがあり、
ネットワークに接続していない状態で
外部から参照できないとする。
そのコンピュータの存在または
保管場所を忘れられた場合──
人の手による直接のアクセスも困難となって
パスワードの設定も関係なく
内部のデータを知ることができるものは存在しなくなる──
ありえない状況とは言い切れません。
この時、あらゆる知性が確認することのできないデータは
果たして世界に存在していると言えるのか。
起動されることのないコンピュータは
何を思って時を重ねるのか──
また、たとえば──
印刷を経ていない紙媒体、石板に類するものに
人が書き込んだ記録は、
複製を残さない条件下で人が書き残した一冊の本は
どこかにしまい込まれ忘れられてしまったら
その内容がもうどこにもないのと
同じであるのか。
手に取られることのない一冊の本は、どのような思いを抱いて過ごすのか。
そして
たとえば──
人がタンパク質の細胞で構成された
複雑な機械であるとする説を取るなら、
とある誰かが──
もしも私が誰からも忘れられたとき
脳内のメモリーは存在すると言えるのか──
小学校では
家で学ぶことのできない知識がたくさん増えることがあります。
私たちとは違う家庭の様子、
おせちやお雑煮の中身の違い、
寒くて外に出られない日の遊び。
思いもよらなかった
お年玉の使い道──
いったいどうして
孤独な記憶媒体を思ったのか
理由は確かではありませんが、
久しぶりに一人でいる時間を体験する
学校からの帰り道が
寂しいと感じるものだったのか──
それとも誰かに伝えたいと判断した、
聞いてほしい情報が
あまりに多いからなのか。
最近は寒い日が続きます。
日の暮れた後にはなおさらでしょう。
帰りが遅くなりがちなキミはどのように対策をしていますか?
収集したい情報は
まだたくさんあるのです──