綿雪

『出会い』
こうでもない──
ああでもない──
あのね、お兄ちゃんに
聞きたいの。
いい?
この世界には
二つの種類の
人間がいるという──
しってる?
どこかで聞いた?
そう、それはもちろん
生まれた時に始まって
あらゆることがなんでもできる
とってもかわいくて
みんなが愛情いっぱいに
育てたくて仕方ない
あさひちゃん
わんぱくお姫様と、
そのほか!
──ではなく、
大掃除に物を捨てるのが
得意な子と
そうでない子。
ユキは
どっちだと思う……?
病院から帰ってきて
家で過ごす時間が多くなり
みんなと過ごした
記念に──
残しておきたいものが
毎日増える
この生活。
お菓子の袋も
取れたボタンも
小さくなった帽子も
捨てられない。
でも、なんでもしまっておける
大きな家に住めるのは
お姫様だけだもの。
ユキはお姫様じゃないから
すこし
捨てないといけない──
お兄ちゃんは
どれがいらない?
一緒に見てもらってもいい?
ひとりでは
このままずっと
ずっと──
とっておきたくて
決められそうにないです。
捨てることが苦手になった
残念な一年生。
おやつの時間が来て
やがて年が明けても
終わらなかったら
どうしよう!