『メリークリスマス』
クラッカーの準備よし!
和洋中のリクエストに応える
パーティーメニューの準備よし!
浮かれた心の準備よし!
陽気になりすぎても
迷子まではいかないくらいに
引き締めた気持ちの準備もよし!
サンタさんのプレゼントだけは
明日の朝──
靴下をのぞかないとわからないけれど
みんなが一年いい子でいた
間違いない事実を
知っている春風の記憶は完璧です。
ついにやってくる──
家族のクリスマス。
準備を重ねた子にも
この年にもなってなんて恥ずかしがる
ひねくれた子にも
必ずやって来る幸せな日。
いつのまにか
去年のクリスマスから
月日は流れ
ずっと遠くと思っていた次のクリスマスが
もう明日にまで迫っている。
そう、あの日の
パーティーが終わり
布団に入るときには
もう遠く遠く
次に願いが叶う時など
永遠のような先の話だと思ってしまった
あの冬の日から──
指先は冷たく
かじかんでも
胸の中は一年のいつどんな時よりも暖かく
明かりが灯ったよう。
春風はどうかしら、
いい子でいられた?
悪い子だった?
王子様──どう思う?
本当は──
何か特別なことが起こりそうな
魔法の夜の雰囲気に
プレゼントなんてなくしてしまっても
一年に──
今日しか起こらない奇跡を──
望んでいる気持ちもどこかにあるけれど
はたして叶うのか
叶わないのか?
いつか叶う願いなのか──
それも知らない聖なる夜。
明日は家族みんなで過ごすパーティーです。
楽しみ!
わくわく──
この日を迎えられただけでときめいているのに
楽しい時間が始まったら
きっと、あっという間に過ぎてしまうほどなのでしょうね。
ああ、待ちきれず
眠れないで目がさえてしまいそう──
明日の朝が来ることを知らないみたいに
これじゃあ恥ずかしい春風は
いつまでも子供のようでは──ないですか?