海晴

『トラベラー』
クリスマスまであとわずか。
今年も慌ただしい師走を
走り回って、
ようやく大人たちも準備が
整ったところ!
みんなが楽しみに
靴下を枕元に置いて
眠りについた後のこと──
サンタさんへのお手紙に
ようやく返事が来た、といった感じね。
むかし
むかし──
海晴お姉ちゃんが
まだここまで大家族のお姉ちゃんではなく、
しっかりしているわけでもなく
お姉ちゃんの自覚も大したことはなく
誰かのためを思ったり
行動するのも
それほど得意ではなかった頃。
なんだかんだで忙しいママは
うっかり者だし
あんまり隠し事は苦手──
いつの頃から
だったのだろう?
もみじのような小さなてのひらで
一生懸命に、
お正月もお盆も
クリスマスも──
手伝うのが当たり前になっていた。
ママにだけ任せては
いられないと言いながら──
それは、頼りないというだけの理由から?
きっと楽しいと
鋭く見抜いて、
私の方から押し掛けたなんてことが
あったりしても──
たまにはそんなのもいいんじゃないかな。
でもそうすると
なんだかんだ言いながら
大人になった今──
こうしてママを手伝ってお仕事ができているのも
子供の頃に喜んだ
クリスマスの延長でもあるということになるんだね。
とっておきを届けたり
贈り物に自信一杯だったり
毎日楽しんでほしくて考えていること──
お天気番組にそこまで!? なんて言われたりしながら
続いているのも
長女だからこそのお楽しみのおかげだったなんて!
なんてね。
今日もパワフルな足音がいくつも
やまないみたいに響き渡り、
家の中を騒がしくさせている。
この元気な笑顔が
遠い未来につながっていく
何かの産声だっていうことを
私はもう、ちゃんと知っているんだ。