真璃

『ダンス天国』
扇子を支えて
うつくしく──
舞を覚える子供。
マリーのくちびるから
歌が流れて
ゆっくりと姿勢を整え
踊りは続く。
観月はマリーの知らない踊りを
いくつも教えてくれる。
手に手を取ってのダンスもいいけど
たまにはこういうのも
教養だと思うの。
観月が言うには、素質があるって!
マリーももしかしたら
前世はかわいらしい
舞妓さんだったりしたのかしらね。
おしとやかで
育ちの良さを感じさせる
立ち振る舞い──
ひとたび弦が震えれば
花のような魅惑のステップ。
あら!
お琴の音に乗せて
まるでベルサイユ宮殿の舞踏会を思い出す
優雅さよ!
マリー……まだ舞踏会のこと
本当は思い出していないけど
なんだかそんな気分になるのよ。
踊りが好きで
歌うのも楽しい
笑顔を欠かさぬ明るいレディ。
この貴重な才能は
やっぱり──
どこにでもそうそう転がっているものではないと思うわ。
えっ?
虹子も青空も
さくらもあさひまで
マリーをまねて
踊るって?
マリーだけじゃないって?
まあ、そういうことも
あるかもしれないわね!
フェルゼンは歌と踊りと
するのと見るのと
よろこぶのと笑うのと──
どれが一番好きなのかなあ?
こっそり教えてくれたら
マリー、才能あるから
いつのまにか素敵な踊りを覚えて
見せてあげるかもしれないわ。