亞里亞BDSS

『パワーフリークス』
 毎年毎年また今年も夢オチ今年も夢オチというわりにはそんなに夢オチになることもない当サイトの亞里亞BDSSだが、今年は亞里亞が体操着に着替えて体を鍛えているのでさすがにそろそろ夢オチだと思う。それとも中の人ネタで行くのかな今年は。
「あっ! あにぃ! 気が付いたら亞里亞ちゃんの体に入っていたけど、それはそれとしていつもの習慣で運動してるんだよ!」
「すると、入れ替わりネタのSSだね。そこまで無茶じゃないギャグで収まってくれそうでよかった」
「……そうだね……兄くん……私もこんな体に入るのは……よくある経験だよ……」
 上から声がするので飛行ガジェットでも身に着けた鈴凛かなと思う余地はあまりなく、あたりは影に覆われ、稲妻のような割れる声がいつもの千影の口調でしゃべるので怪獣以外の何物でもない。そういうのもありなんだ……妹入れ替わりに限らないんだ……
「あにぃ、あれはガメラっていうんだっけ」」
「どうだろう、モスラじゃないかな」
「いや……ゴジラなんだ……」
 怪獣に詳しくなくてすまない。知っていることと言ったら柴千春の背中にキングギドラがいることくらいなんだ。
「まあ深く考えるのはやめて衛と体操でもしていよう」
「うん! 亞里亞ちゃんの体は硬いね、ほぐしておいてあげないと」
「ラストのオチは筋肉痛かな。それくらいのかわいいSSになるといいんだが」
「では私も……いつもと同じように……愛のおまじないでもするとしよう……」
「その体で? いいけど」
「まずは……死刑囚の手首を切り落として作ったろうそくを……」
 いつもと同じがダメだった。
「あれ……どこにしまったっけ……食べてしまったかな……」
 怪獣ではしょうがないけども。
「というかあれでは、軍の出動があったりするんだろうか」
「いや……まわりが気にしないような術をかけてある……」
 さすが千影だ。
「兄くんのそばにいるために……いつも使っている術だからね……」
「そうだっけ……気が付かなかった。さすがまわりが気にしない術だ」
 その術でいつも何をしているんだろう。
 さて、にぎやかな声がして走ってきたのは衛だ。いや、たぶん衛の体に入った誰かだ。ややこしいな。
「がんばれがんばれお兄ちゃま」
「やあ花穂だ。花穂の応援は力になるな」
「えへへ。花穂もなんだか体がよく動いて力が出てくるの!」
 元気いっぱいの体でドジをしたら激しく周囲を破壊するギャグ展開だろうか。それとも、転んでも丈夫な体でケガをしないほのぼの展開だろうか。両方……? ありうる……
「がんばれがんばれキングギドラ
ゴジラ……」
 花穂も怪獣には詳しくないようだ。
「しかし入れ替わりに規則性がないのでは、事件の原因を探って解決するのが大変そうだ」
 四葉なら口調でわかるかもしれないが……
 たまたま通りすがりの立夏がやってきたのだ。
「リックラックリックラック」
 おまけに、たまたま通りすがりのマリーも内浦からやってきた。
「シャイニー!」
 さらにおまけで、怪しい外人口調の期待の新人クゥクゥも通りがかった。
「バンガッテクダサイネー」
 なんで上海出身なのに英語交じりのカタコトなのだろう。一応ラブライブデイズNo.8では中国語も言ってたな……一言だけ……
 だが、彼女たちがここに来たからには、きっと四葉と誰かが入れ替わっているに違いない! その足元をとびはねている人懐っこくて落ち着きがない子猫はたぶん関係ないんじゃないかなあ。
「ねえお兄様、じゃなかったお兄ちゃま、こんな大変な事態で汗かいたでしょう、はいタオル」
 あっ咲耶だ。
「ありがとう。洗剤のいい香りがするね」
「えへへ、花穂ったら女子力を発揮しちゃった! 結婚する?」
「結婚できないのは咲耶も花穂も変わらないような……」
「花穂、まだ子供だからそんなこと知らない! あっ、ドジでお兄ちゃまのほうに転んじゃった。このままだと抱きあうことになっちゃう!」
「よくあるギャグSSの感じでほのぼのするなあ。こんな感じで続けばいいのに」
「これいいんだ……?」
 まあ比較的……
 そして、やっぱり平穏な時間は続かないようだ。あたりへ轟く稲妻の声。
「お兄ちゃーん! 可憐、こんな体になってもお兄ちゃんに会いたくてやってきました!」
ガメラも来るんだね。亀の形態だからガメラでいいんだよね?」
「兄チャマー! 四葉も鱗粉をまき散らしながら来ちゃった!」
モスラでいいんだよね。というか立夏もマリーもクゥクゥも子猫もみんな本当に関係なかったのかよ! なんでいるの!?」
「同じだ……シスタープリンセスパラダイスなどにたくさんあったギャグSSのカオスと……だったらイケるぜ!」
「柴千春の方かよ! 本物のキングギドラじゃないのかよ!」
 懐かしの三村ツッコミをしてしまう。シスプリ全盛時はよくあるツッコミで使っていた気がするな……
「ヒナたちは」
亞里亞たちは」
「「卵を守っています」」
「もうモスラ来ちゃったけど」
 双子で歌うのは、VTuber可憐ちゃんが咲耶ちゃんと歌いたがっていた方のモスラじゃなくて人間椅子の方のモスラだ。兄が変な影響を与えてしまってごめん……人間椅子ネタも昔はよく使っていたな……今年のテーマは懐かしネタかな?
「きゃあー! 姫ったら、お鍋を作っていたら自分がお鍋の具になってしまっているですの!」
 さすがにここまでやっていたかな……
「これが本当の、にいさま姫を食べて! って言うことですの!?」
 ああ……わりとあった気もする……
「兄君さま、ワタクシとしたことが白雪ちゃんとお鍋を作っていたらお鍋そのものになっていましたわ! ああ……兄君さまのことを考えていたら体がポカポカ温まってきますわ……ポッ」
 それは僕とあんまり関係ない温度の上昇ではないかなあ。具体的にはガスコンロかなあ。
「兄上様……兄上様……」
鞠絵の声もするだって!? いったいどこから!?」
「兄妹愛と根性を出すなんて簡単なことです……兄妹愛と根性を出せばよいのですから……」
「柴千春まだ引っ張るのかよ! 中身が鞠絵か……だったらイケるぜ!」
 あと今はそんなに根性を出す必要ないと思う。でも元気になってよかったね!
「しかし毎年亞里亞BDSSは亞里亞を捕まえればだいたい解決していたんだが、亞里亞出てきちゃったな。まだ出てこないということは久しぶりに鈴凛のマシンの暴走が原因かもしれない。最近珍しいな」
「フフ……何かあったらすぐ私のせいにしていた兄くんも……ずいぶん変わったものだね」
「いやあ千影が原因かもしれないとは少し思っているけど。関係ないの?」
「フフフ……フフ……」
「えっ本当に千影が何かしたの?」
「うーん……数日前にかけた魔法が理由であるなら……効果が出るのが早すぎると思って……」
「何も聞かなかったことにしよう。となれば、やっぱり鈴凛かな」
「アニキ……」
鈴凛! どこから声が!? 近くに通りすがりのアイアン・マイケルが来たからやっぱり!?」
「ちがうよ……」
「まぎらわしいなアイアン・マイケル! するとどこだろう、ずいぶん近くから声が聞こえるんだけど。シャツに押しつぶされた平面鈴凛とかかな」
「それは入れ替わりじゃないよ!?」
「何でもありみたいだからな……身に着けているものだろうか」
「きっとパンツですね! では四葉がチェキです!」
モスラはげんこつで殴っても通じるのかなあ」
「殴らないであげて」「殴らないであげて」
「小美人が言うなら逆らえない。じゃあ代わりに、いっそ試しに撫でてみよう」
「こっちを撫でて」「こっちも撫でて」
「しょうがない……みんなまとめて(うれしそうに)」
 白雪と春歌は、少し冷めてからでがまんしてね。
「しかし鈴凛はどこにいるんだろう。声はもっと近くから聞こえるな」
「ここだよ……なんとアニキの中だよ」
「一人の中に二人いるのもありなのか。そういえば鈴凛が作ったメカがどんなものだったか、自然に頭に浮かんでくるぞ……これは便利だ……どんなふうに暴走したのかも頭に浮かんでくるぞ……あっ鈴凛が予算のためにちょっと無茶をした……知りたくなかった……」
「知られたくなかった……ともかくそういうわけなんだよ。でも時間が経てば自然に元に戻るから安心してね」
 それなら安心だ。
「私の方も……時間が経てば元に戻るような出来事だから……安心して……何が起こるかは言えないけれど」
 それはむしろ不安になるな。なるべくなら忘れていたかった。
「そういえば昔、シスプリSSが書けるのは自分の中に妹たちがいるからだってかっこいいことを言ったような気もする。それも原因だったのだろうか」
 べびプリのあとがきによると、公野先生は巫女能力で書いていると言われていたそうだけど。じゃあ僕が書いていたのは一体何だったのか? まあいいや。
「そうか。結局、最初から妹は自分の中にいたということだったんだ。何も事件なんて起こっていなかったんだね」
「アニキ……うん、そうかもしれないね」
「というか、普段から12人の妹が自分の中にいたってことなんだね。それはそれで別の事件という気がするね」
「そうかも……」
 そのおかげでシスプリSSが書けるならいいのかな。この内容ではあまり良くないのかな。来年はがんばろう。
「それに、これからまた新しいSSを書きたくて、自分の中に、面白そうな作品のキャラも増えていくのかもしれない。きっとかわいいクゥクゥもすでにいるんだクゥ」
「クゥクゥはそんなしゃべり方はしないデスゥ!」
 まだクゥクゥはいないようだ。