虹子

『おゆき』
にじこがよぶなら
そうしたら、
いつもかならず
おおきなおおきな
にじがかかる──
こさめのあと、
みずまきのあと。
かわいいかみのけまで
みずがしたたるような
おおあめのあとでも
なないろに
にじはひかり、
アーチをつくる。
あるいてわたることも
できそうな──
うみのむこうまで
いけそうな
それはそれは
だれもみたことがないほど
りっぱなにじが
かかるはず。
うふふっ、
みんながそらをみあげて
はれをよんだり
あめをよんだりする
おてつだいはできないけれど
あめがふったら
いいことがあるって
おしえてあげることだけは──
にじこのおしごと。
こどもでも
おしごとができるの。
いいでしょう?
でもね、でもね
あきばれの
はだざむいの
おなべのひの
などがあると
そろそろ──
いいかもしれないでしょう。
きれいなもみじが
ちるころ。
こごえるようなそらから
ひとつぶ
ひらひらと──
たのしみに
こどもがまつのは
ゆきがふるけしき──
にじこは
もう、にじをかけないようになり
おそらにきれいなゆきを
よぶようになる
こどもにかわるころだとおもうの。
そのなは
ゆきんこ──
それとも
おゆきのこ。
ふるえるこどもが
おそらをみあげるようになると
ひとは、そろそろ
よいこたちに
ゆきをみせてあげたいなと
よこにならんで
おそらをみあげて
ねがうの──
そんなきせつが
はやくこないかな!