『探索』
今日もすっかり
帰りが遅れて──
家事を手伝えない私は
小さい妹たちのお風呂の世話と
寝かしつけの役目を請け負うことになった。
といっても
服を着ないではしゃいでいる子がいたら
くしゃみの真似でもして見せれば
びっくりするのだから──
素直なものだ。
注目さえしてもらえれば
あとは口でごまかすことくらいわけはない──
あ、いや、真剣にこちらの説得を聞いてくれる素直な子供たちだ。
布団に入ったら
暗い帰り道のおばけが怖くなくなる
手作りのお守りを
競うように、自慢するようにしてそれぞれが差し出したら
もうそれだけで
みんなが安心したように夢の中へと入っていく。
素直で──優しい妹たち。
そうだ、暗い道が怖いというのは
別に冗談でも
猫をかぶっているわけでもない。
つまづく危険があるし!
それに
夕方は車の通りも多い!
そう考えると
必要だったのは交通安全のお守りだったかな?
まあ──魔除けということで効果もあるだろう。
それに闇の中から
おばけが出てくるなど
そうそうないと知っていてもなお──
何が潜むかわからない闇の中に
人の世の理に組み込まれずにいる
いまだ正体のわからない何かを
おぼろげに感じ取るのは──
危機に備える想像力が正常に働いている証拠であり、
恥ずかしく思うことではない。
人はあるがままに夜を恐れ、闇を恐れ
愛する者に
ときどき相談するくらいでちょうどいい──
オマエも帰りが遅くなりそうなときは言うといい。
私が一緒にいられるなら──
たくさんのお守りのおかげでおばけに会う心配だけはいらないはずだ。