氷柱

『家庭教師登場』
まあ!
こんな問題も
わからないなんて!
悪い子ね。
と──いうわけで。
私たちの家は
まだまだ小さくて
ころころかわいい子供たちがいっぱい。
右も左も
小さい子。
ふりかえっても子供。
いたずらざかり。
なかなか宿題にも
とりかからないことだって
もちろん普通だとすれば──
きらりと目を光らせ
心の中をのぞきこみ
やましいところがないかどうか
見抜くのは──
姉として自然と身に着ける技術だと思うの。
本当よ。
どんな言い訳も通用しない。
宿題で時間がかかると
遊べないし!
とか、
寝る前のほうが
集中できるし!
とか。
フフ──
そんな言葉で
お姉ちゃんが引くと思っているなんて
かわいいわね。
あなたも知っているでしょう?
家族を心配する氷柱が
どれだけしつこいか──
今日もみんなの宿題を見守って
逃がさない。
夢の中まで追いかけていくと
誰かが言うから
そういうことにしておきましょう。
下僕も悪い夢を見るような心当たりはない?
見つからずに済むと──
思わないことね!