真璃

『レディの時間』
ばあー!
やってきたわ!
ちまたで噂の
あの美少女。
その名もうるわしい──
カマキリレディ!
──
さくらちゃんがつかまえてきた
二匹のカマキリは、
今ではすっかりわがやのアイドル。
一緒に写真を撮りたい子、
握手をしたい子。
手料理を食べてもらいたいと贈り物にする子、
みんなみんな
カマキリと
誇らしそうなさくらちゃんのことが大好きよ!
かわいいかわいいカマキリ。
世間の熱狂的な流行には
みんなもついつい
つられてしまうところが
多かれ少なかれあるもので──
誰が最初に始めたのか、
どこからともなくあらわれ
名乗りをあげる、
彼女の名は
カマキリレディ。
時には幼稚園児くらいの
背丈をしていたと思うと──
時にはお天気お姉さんに
ちょっと似ているかもしれない。
神出鬼没、変幻自在の
怪奇と神秘の申し子という言葉が
まさにふさわしいわ!
することと言ったら
カマキリの格好で近づいて
抱きつくことくらいしかないんだけど。
カマキリ大好きのフェルゼンも
あのすてきな女の子を見た?
まだ見たことがないですって!
それはいけないわ──
もったいない!
そうだ、
フェルゼンはマリーと
こうしてまばゆく美しいおうちの廊下で
偶然にも出会ったのだもの、
何かいいことが
これからも起こるに違いないわ。
たとえばフェルゼンが
ちょっと後ろを見て
目をつむっている間に──
何かが近づいてくるかもしれないわよ。
マリーも準備するわね──
じゃなくて、これからフェルゼンに楽しいことがあるといいわね!