観月

『燦々』
ふうふう──
今日も暑い日であった。
幼稚園でも
帰ってきても──
どこにいたって
額を伝う汗のしずく。
拭いても拭いてもきりがなく
子供たちはいつも赤い顔じゃ。
お庭で手をつなぐ
小さな子たちは──
また厚い灰色の雲を待って
首を伸ばし、遠く見上げる。
あちらのほうで
山にかかる雲は──
あるいは、街のほうへ流れていく
動きの速いのは──
と。
追いかけるけれど
汗だくで
へとへと。
本当に、もう今すぐ
夕立が来たっていいのに──
兄じゃたちが帰ってこられなくなるかも?
汗っかきたちが
傘を持って
迎えに行くのに!
願っても──
涼しくなる気配はなく
そよと吹く風も絶えた。
こうなったらもう
仕方がない。
今こそ
うなずきあう子供たちの
決意の顔──
神頼みじゃ!
かみさま
ほとけさま。
すると
なんと!
ちょっと──
涼しい風が吹いてきたような?
ほんのり気持ちがいいぞ!
よかった、よかった。
うむ、どうやら
こういう不思議な力も案外──
みな才能があるようじゃ。
うらやましいの。
生まれ持った力じゃな!
きっと、修行を積んで
すぐに立派な術の使い手になるぞ。
まあ百年か
二百年か──といったところかの。
兄じゃのところにも
そよそよいい風は吹いたであろうか?
みんなの願いで
家族が涼しく心地よく過ごせたら
とてもいいことだと思うのじゃ。
わらわも兄じゃのために願おうぞ。