『計画』
暖かな季節が来て
窓辺のテーブルには
ほんのり白く煙る湯気のカップと
オレンジ色の中身を移す冷たいグラスで
にぎやかに飾り立てられた日のような
景色が広がる。
もうすっかり
毎日はぽかぽか陽気。
いつもの習慣の延長で
羽織っていた重ね着も
そろそろ椅子に掛けられ
膝に畳まれ──
まあ、夕方あたりには必要になるかもね、
くらいの感じ。
けっこう前から
冬の終わりの気配は
感じていたけれど
今日ののどかさは
もうそろそろ、といっていいのかも。
これはやはり
最近すばしっこい様子だった
観月ちゃんが──
寒さのこもるような
日陰を見つけては
えいえいと何やら力を込めて
追い払ってくれたのが良かったのかしら。
なんてね。
でも、時節柄
どうしても──
お出かけって雰囲気にならないのは
まだしばらくは変わりそうにない。
子供の仕事は
いたずらをすることと
わがままを言うことと
それから当然、
いい子で体に気を付けて
うがい手洗いを忘れず
自分の身を守ること。
だから、どこかに行きたいとは
一応言うけれど、
そう簡単にはいかないのもわかっているの。
そんな時は
家の中でプリキュアの踊りを踊って
疲れきって眠るまで体を動かしていれば
それでいいらしい。
子供っていうのは──単純ね。
一方で、難しい顔をしているのは
年上のお姉さんたちで、
人の集まる場所へ行けないなら
裏山に少し足を延ばして
開き始めた花を見るのはどうかって
相談しているよう──
気持ちはわかるけれど
我が家では比較的お姉さんのほうとして見られる私の意見では
きっと小さい子たちは
走り出すのを
がまんできないに決まっているし!
お世話の必要で大変なことになるのは目に見えているわ。
むむむ、
うーん……
どうか思い付きの計画が
何かの拍子で都合よく
自然消滅してくれたら気は楽なんだけど。
見たところ
可能性としては半々と言えそう──かな。
あなたも面倒くさいのは嫌でしょう?
うまく話をそらしてくれたら
たまに退屈な時に──
遊びに誘ってあげる。
インドア系になるけど
私となら踊らないで済むから
安心ね──
信用してくれていいのよ!