吹雪

『セレナーデ』
紺色

水色
グレー
パステルグリーン
また紺色──
春風姉が紹介してくれるのは
視認性の良い子供向けの黄色ではない場合が
多いようです。
暦の上ではもうまもなく立春を迎え
季節はだんだんと春に向かうと
歴史は教えるそうですが、
いまだ未知の部分も多い
天気は複雑なもの。
2月になっても
寒い日が続くことがあるように
まだ1月にある程度の日差しと
そこそこの気温の上昇を経験することもあるらしい。
汗をかいて庭を走る家族を
日なたに座って眺めるのであれば
ユキにとっては体調の心配がない日になってよかったと思いますが
低い気温に合わせた生活を意識してきた私にはまだ
体の準備ができていないと言える程度の
急な変化となります。
暖かいというだけで幸せを感じるとの声も
家の中で聞くことができれば──
あるいはまた、暖かすぎるのも順を追ってのほうがありがたいと
そんな意見もあっていいのではないかと考えます。
薄着の準備もしていないし──
気温の変化に合わせるのは経験が必要ですね。
そんな話を春風姉としていたところ、
夏場の暑さをしのぐための日傘の手持ちを
いくつか見せてくれました。
まだまだ春の温かさには至らず
遠く待ち遠しい季節でも
あらかじめ予習をしておくことには
何も問題はない。
春風姉は日傘をいくつか広げて並べ
とりあげては似合うかどうか持たせるようにした
その景色を
一足早く花が開く眺めに例えましたが
寒色や薄い色にデザインされた日傘は
控えめに輝く星の色のほうに例えるのがふさわしいのでは──
と考えました。
今日、夏が近づいたら子供用の日傘を買いに行く約束をしました。
やがて季節が巡ると
夏の夜空を待ちながら
私たちが過ごす熱波の地上で、
ある大さわぎの家に
涼しげな星明かりが揺れる毎日。
きっと、まだ遠い先のことになるでしょう。
急ぐわけではないので
その日が近づくのがゆっくりであると想像しています。