真璃

『おしりの大きな女の子』
七草粥をいただいても
長い冬を越すためにたっぷりたくわえたお肉は
そう消えはしない。
でもマリーはいいと思うの。
よく食べるのは
元気な証。
女の子はふくよかなくらいじゃないとね。
なんだか頼りになる感があるでしょう?
あんまりスマートだと
風邪を引かないかちょっと心配だし
だいたい、いまどきの若い子は
体型維持が大変なのは
マリーから見てやせ過ぎなんだわ。
みんな!
マリーが許可します。
よく食べて
いっぱい遊んで
ビタミンCで風邪を吹き飛ばし
子供たちがぶつかってもびくともしない
レディーを目指してね。
寒い冬を助け合って乗り越えるときに
大事なこと──
おぼえておきましょうね!
……
……
……
さて。
ここまでが
体型で相談にくるわが家族に伝えてあげる
別に大丈夫というお話。
だって、だってね、
あんまりみんなが太ったことを気にすると
おやつもごはんも
カロリー制限を考えた状態に変わる……
子供のマリーにはどうしようもないの。
いつか大きくなってお料理担当になったら
小さい子たちにはたっぷり食べさせてあげるんだから!
でも、マリーが大きくなったらみんなも大きいわね。
まあこれは将来その時になってから考えるわ。
そもそもマリーは
スタイルのいいお姉さんと
それを維持するためにがんばっている努力が
実は大好き──
今は着れない小さめサイズの服を
目標にして部屋に立てて──
いつか近いうちに似合うようになりたいと
決意した乙女の瞳はいつだって情熱的で、美しいわ。
たとえ先に待ち受けるものが挫折であろうと
燃え上がる気持ちは必ず女の子を一回り大きくする──
と、そんな秘密の本心を打ち明ける相手は
フェルゼンだけだから
みんなにはわからないようにしておいてね。
がんばってジョギングを始めたり
とてもはりきった体操をしている子がいたら
終わる頃にさりげなく自分も飲みたいからって飲み物を用意しているのも
まだみんなには気付かれていないと思うわ。