春風

『晩餐』
春風、歌います!
きよし──
このよる──
毎年この時期は、クリスマスソングが
街に流れて
聞きなれない新しい歌も
気持ちをウキウキさせてくれたりするものだけど
春風はやっぱり、
春風は──
子供のころからなじみのある
好きな歌が聞こえると嬉しいな。
今よりもっとちっちゃくて
優しいお話が大好きで
一生懸命に飾り付けをしていた
かわいらしかった頃の春風も
とてもクリスマスを楽しみにしながら
12月を過ごしたけど
大人になって忙しくなり
ばたばた慌ただしい今の春風のほうが
昔よりももっともっと
ずーっといっぱい
白くて静かで
どこか厳かな日を
心待ちにしているだなんて
あの時の春風は信じるでしょうか?
もしも年をとって
懐かしい思い出を振り返って
人生で一番幸せな時間に戻れるよう
願い事をするときが来るとしたら
春風は今この時の
愛する人とかわいらしい家族に囲まれて
クリスマスの準備をする日々に戻ってくるのかもしれないですね。
それとも、遠い未来のその時も
あなたのそばで──
聖夜を待っているのかしら。
手の届かない高い場所で今日も星はきれいにまたたき
私たちに輝きのありかを教えています。
あの星に今を過ごせている感謝の気持ちを伝えたら
春風はもうそれだけで
胸がいっぱいになりそう。
風邪をひかないうちに思いをきらめく彼方から
地上に戻して、
あなたといられる時間へ帰らなくっちゃ。
明日も私たちの家は大忙し。
王子様も体調には気を付けてくださいね、
楽しいことはこれからなんだから!