春風

『センチメンタル』
はらはら舞い散る落ち葉の下で
春風の心は揺れているの。
みんなの立派なお姉ちゃんとして
ちゃんとやっていけてるのか、
いつかそう願ったように
好きな人たちを支えられるのか、
胸を焦がす思いに焼かれて
とんでいってしまわないか、
触れ合いたい気持ちが
少しでも叶うかどうか、
今日の夕食は何にしようかなどを
とりとめもなく小さな胸の中で
風が巻いて葉を散らすように
止まらない渦のせいで落ち着かないの。
春風は今すぐ
恋する人を見つめたいだけなのに。
王子様は秋の風が吹いて
寂しい気持ちになったりは
していませんか?
くるり、くるくる
人恋しい気持ちが巡っていたら
それは春風と同じ気持ちなの。
あなたにわかってほしい、
だけどこんな切なさは知ってほしくない……
という暖かでゆっくりと時間も流れるような日です。
王子様は知っていますか?
聞くところによると、こんな気持ちの特効薬は
歌うことと遊ぶことが大好きな妹たちに
かまってもらう時間なのだそうです。
ヒカルちゃんが言っていました。
本当かしら?
春風、どれだけどきどきしてしまっても
愛するあなたのおそばで揺れているほうが
とてもいいと思うの。
紅葉みたいにほてった頬を
うつむかせて
すぐ近くのあなたに隠しきれない気持ちがばれてしまいそうな
胸の鼓動。
ああ、聞こえてしまう。
倒れてしまいそうな熱が届いてしまう。
風の舞う秋の日に
あなたといられるなら
痛むような揺れる心は
何もかも全部が喜びで満たされると
なぜか私はもう知っている気がするの。