氷柱

『いたずら』
あーっ!
また!
ちょっと目を離した隙に
いたずらされてる!
困るのよね。
いくら日記の当番が来て
わざわざ下僕宛てに書く内容が
そんなにないと言っても
ご主人の欲しいものくらい
おつかいしてきなさい!
とか
日ごろから忙しいのはわかっているんだから
暇を見て肩を揉むくらいしなさい!
とか
勉強は復習が大事だから
中学生の時の内容がちゃんと頭に入っているか
見てあげるから感謝しなさい!
みたいなことは
わざわざ言わないとわからない察しの悪い下僕だし
日記も必要になるときはないではないのよね。
それなのにページを使ってしまうと
だめだって言っても
毎日伝えたいことがいっぱいで
日記のすみっこを利用されているの。
まったく!
なになに?
連休だから
遊んでください!
なるほどなるほど。
下僕も忙しいのよ!
私の相手もしないといけないんだし!
それから次は、と。
ハロウィン楽しかったね!
またしようね!
だって。
そうね、来年ね。
あとは、ええと。
寒くなってきたから
晩御飯に食べたいものを
教えてください!
ふーん。
下僕のことだから
きっとハンバーグとかからあげとかに決まっているわね。
男の子だもの。
ちゃんと私から伝えておいてあげるわ。
で、それからそれから?
一緒に家のお手伝いをしよう!
まずは悪い鬼退治に行こうね、ですって。
お手伝いを何か勘違いしているみたいね。
まあ、家族の役に立ちたいのは感心ね。
私が後で褒めておくわ。
わかっていたことだけど
どれ一つとして緊急の用件でもないのに
そんなに聞いてもらいたいものなのかしら!
順番を守ってもらわないとね。
というわけで
今日の日記の当番は私よ。
気を聞かせて何をすべきか
ちゃんとわかっているでしょうね?
全部は言わないわよ。