ユニコーンの探索』
みつけた!
と思ったら
はあ、やっぱり。
こんなことだろうと
とっくに
予想はしていたのよね。
布団を丸めて、
服をかぶせて、
工夫と努力にたのんで
一筋縄ではいかない
かくれんぼ。
見つけてほしいのかそうでないのか
これでは全然わからないのに
放っておくとご機嫌が悪いの。
小さい子も、困ったものね。
私も昔は小さかったらしい話を聞くけど
ここまでまわりを振り回したり
それで喜んだりなんてしなかったと思うの。
ほら見て!
さっきまで布団に隠れて
書いていったようすのある
人を食った落書きには
追いかけるお兄ちゃんやお姉ちゃんたち。
俊足で逃げ回る子供たち。
仲間と手をつないで
どこまで行くつもりかしら。
知恵で大人を翻弄する
おとぎ話みたいな落書きに
お気に入りの小枝を振り回すのがせいぜいの細腕で
竜もお化けもたたき伏せてしまいそうな武器。
家の中のようで
魔女が住み着いているしるしまで見つかる
知っているようで知らない場所の地図。
柿の種とピーナッツの好みの割合に
澄んだスープに野菜を浮かべる
おすすめのおそらくは塩ラーメン。
興味の方向が自由自在ね!
思いもよらぬ器用な手先で
いったい誰が書いたのやら。
待って。
しっ!
足音が聞こえた?
誰のものともわからないばたばた遠慮のない音。
こんな器用な絵を描いた子の
名前も入れるように言っておかないと
あとでいったい何を書いたのか
聞くこともできないわ。
誇らしげに名前をとどめた
私の落書きは姉さまたちのふところにしまわれて
ときどきからかわれるというのに
不公平な話よね。
今の子のほうが知恵が回るなんて!
あなたは子供のころはこの家にはいなかったそうだけど
姉さまたちが棚から取り出すように
いったいどこに何が残っているかわかったものじゃないわ。
愉快なものがかくれんぼの痕跡からあらわれないといいわね。
つかまえられそう?
こんなに苦労してるんだから
逃げ足の速さに文句を言うついでに
子供なりの作戦と立派な地図を
からかうくらいはかまわないはずよね。