真璃

『秋の装い』
おしゃれや流行に敏感なレディが
何人もいるわがやでは
キッチンのにぎやかな声だって華やか。
かぼちゃやもみじ、
ぶどうとなしの輝きにきらめくのは
見渡す景色とお皿の上ばかりではなく
みんなのお好みの
おしゃれがどこでもはじまるの。
ハロウィンらしい秋色エプロンって
そんなに長く楽しめるわけじゃないし
おねだりして刺繍してもらって
作ってもらうのも大変だけど
それでお手伝いが楽しくなるのであれば
悪い選択ではない気がするわね。
そう!
楽しもうと思えば
たくさん楽しめる時期だもの。
さすがにおなすやさつまいもの豊かな実りを
ファッションとして楽しむのはむずかしい。
だけど自分の好きなものを伝え合って
うれしくなることだってあるの。
たとえばもしも
マリーのお気に入りの王冠に
前衛的なデザインのおいしそうな飾りがついたら
きらめくうつくしいおなすのよく太った形に
いいね、好きなんだね、って
話が弾むかもしれないし
もしも自分も同じ
おいしいものを求めているよ、
好きだよ!
なんて
家族と話ができてそう言ってくれるきっかけになるとしたら
想像するのも楽しいでしょう!
もっともっと積極的に、そして
挑戦的に秋らしさを
マリーの毎日に取り入れていきたいわね。
そんなことをみんなと話していたら
お風呂に入るときに見つけたの、
なんと春風お姉ちゃまが
かわいいいちごのブラとパンツをしているのを。
それはおそらくいちごの旬、
やがて来る冬と
いつか迎える春を遠くに見つめ
すでに春風お姉ちゃまは夢のように
すてきな季節の訪れを待っているのね。
目には見えない心の内を
女の子らしく隠して楽しむ
わがやのおしゃれ名人ね。
私もまだまだ学ぶことがいっぱいあるようだわ。
フェルゼンもお姉ちゃまの密やかな思いに気づいてあげてね。
なにしろ今日の晩御飯は
和風のおだしが秋の食欲を刺激するおでん!
カレンダーの先を望んで
暖かくしてほしいと願う優しい気持ち、
マリーは小さい秋に見つけてしまったんだから。