立夏

『スタート』
ふわああぁ──
連休に遊びに遊んだ疲れが
まだ取れないうちから
一週間が過ぎて
たちまち次のお休みがやってきたよ!
ぼーっとしてると怖いネ!
お休みの間のお土産をもらったのが
つい昨日のことのよう──
聞いた話によると
たくさんあった自由な時間を
クラスの友達は
部活動に青春の汗と涙を見つけたり
絵画のコンクールに出す作品に色を重ねたり
日が昇っても日が暮れてもギターのネックを握り締めていたり
したというよ!
まぶしい中一の春の輝き。
同じだけの朝と夜を迎えて
たっぷりの時間をもらった後
どんなときも明るさと元気と
かわいいことしか取り柄がない娘は
お気に入りのクッションによだれをたらし
ごろごろしていた記憶しかないというよ!
でもそれは
子供たちと一緒に駆け回ったからで──
つかまえてもらいたくて
靴底をすり減らし砂煙を上げて駆ける子を
全力で追いかける中学一年生は
家庭に一人は必要だと思うんだ!
って、言い訳をしても
時間は戻ってこないし
自分の姿をあきれて見つめているうちに
次のお休みはやって来るし
よし!
次の休日こそは
なんか有意義にしよっと!
決めた!
何をするかは──
金曜の夜に至ってもまだ思いつかない空っぽの頭だけど
ちょっと甘いものでも入れたらすぐ──
はっ!?
これか!?
たくさんお手伝いをしたお料理。
無数のキャベツをおたおたしながら千切りに変え
無数のうどんをよだれと戦いながらゆでたあの日々は
きっと力になる経験で
無駄ではなかったと思うの。
まあリッカが
リクエストばっかりしていたら
なぜか厨房に立たされただけかもしれないが
いいの!
今なんか楽しいことが出来そうなルートが
見えつつある──
いや、確かに見えた!
オニーチャンもだんだんそんな気が
してきたでしょ?
元気と明るさしかない
かわいい妹が
テンションをあげてきたお話だもの。
もしも同じ気分に
なってきたら──
明日はおなかをすかせて
食べたいものを通りすがりのすれ違い際につぶやいてみたりしたら
きっと!
大きな返事と
いいことがあるかもしれないね。
ああ、また
休日が楽しみになるね!