『侵略』
永遠に闇を抱くあの彼方から
降りてきたような──
寒さは再び
私たちを襲い食いかかり
容赦のない冷気に閉ざしていく。
小さく健気な人間たちは
戻ってきた冬を怖れながら
対抗するために体を動かして体操をしたり
ぎゅうぎゅうくっつきあったり
鍋物の具を相談したりと
知恵を振り絞っている。
子供に人気のつみれは定番だが
体が特に温まるキムチや豆乳の鍋となると
私個人の考えではあまり合わないような気がするのだ。
人それぞれに愛の形があり
全ての命が悲しみを背負いながらもたくましくあるように
鍋の具に関するあらゆる好みは
競い合い、ある時はお互いを称えながら
例外なく許されることになる──
といいな──
真剣な話し合いを重ねて
家族たちは温まるときを目指す。
あんなに限りなくどこまでも大きい宇宙の
多くが同じように染まる寒さだというのに
絶望を忘れて戦い続ける宿命を背負う──
地球とはあまりにもちっぽけな星だ。
友もなく孤独で
この星は生きつづけ、耐えているけれど
でも不思議な運命の糸に絡め取られているように
まぶしい太陽がすぐそばにあって
小さな地球のちっぽけな冬を知らないみたいな顔で
変わらず照らしてくれる。
同じ悲しみと喜びを共にできるとは限らない二つの星の関係は
頼もしい光に庇護を願う親子に似たものなのか
あるいは──
無限の空間で偶然にもすれ違うわずかな縁に過ぎないのかと
震えながら思うときもないではないが──
あるいは苦難の中にそのまぶしさを知って
追いかけ続けていく大きな背中とも言えるのではないか。
ふふ──いつかは自分もまたと求める明かりか。
私はどうも寒さに不自然に抵抗せず
こういうときは頭のてっぺんまで布団に包まって
冬を越したいタイプに違いないのに
似合わない考えもたまには思い浮かぶものだ。