ヒカル

『あけましておめでとう』
年を越す前に
次々と睡魔に敗れていく子供たち。
紅白の前の元気な決意とは裏腹に
ついに残ったのはいつもの顔ぶれの大人だけだ。
今年一年でだいぶ重くなった妹たちを背負って
暖かな寝床へ運ぶのも
年が変わる瞬間に顔を合わせるのも
代わり映えのない景色の
よく見慣れた笑顔。
これから先もずっと過ごす人たちと
除夜の鐘を聞いて──
思い出に残る瞬間を共にしている。
楽しかった紅白歌合戦
華やかなステージと熱量が伝わるパフォーマンス、
すごすぎるパワーの舞台を
みんなで見ることができなかったけど
まあオマエがいるからいいか。
そんなふうに
特別なようでなにも変わらないような
今年もまた家族といる大晦日
新しい年のはじまり。
少し違うことがあるとしたら
普段はもっとにぎやかな家の中が
この時間だけはほんの少し静まっているよう。
気分の問題かな──
何もかも新しく生まれ変わるときには
この私でもそんなつもりになるようだ。
軽口が飛び出す人といるのに
言葉がなくても伝わると思える感じ。
たとえなんとなくの気持ちでも
たぶん一年のこの瞬間にしかわからないことなんだ。
いつもじっとしていられない私が
この時だけはそういうんだから間違いない。
まだチビたちが大きくなるまでの間は
頼りになる海晴姉や霙姉たちと──
それから普段なんでも言える相手のオマエが
大事な時間を一緒に過ごす人だ。
隠し事なんてないつもりなのに
晦日に妙な感じになる私のことを
オマエは一年に一回しか見ないから
詳しくないかもしれないし──
そういえば去年の間に伝え忘れた大事な言葉が
あったような気がしていたけど
そのうち思い出したらのことにするよ。
その時もきっとオマエがいるに決まっているんだ。
私が言うから確かなんだ──だといいな。
いつもありがとう。
今年もよろしく。