青空

『おしずかに』
しーっ!
しずかに!
おおごえをだすと
そらがやってきて
こらー!
おこる。
あたまを
ぺちぺちたたく。
あたまに
とどかなかったら──
そのへんをぺちぺちする
そら。
だまって
いないと──
そらがくる。
ほらほら
あれはなんだ。
ほーらほら
あれはふぶきが
ほんをよんでいるところ。
おべんきょうは
おじゃまをしたらいけない。
そら、
あそんでほしくても
ちょこんとすわって
まってるもーん。
ひゃく
かぞえるあいだくらい。
こえをださない
そら。
うるさくしない
そら。
そらがいるから
ふぶきは
おちついておべんきょうができて
かしこくなる、
えらくなる、
だいじんになる。
おっとっと
とっと
あそこでこさめが
ほんをよんでいる。
しーっ!
おじゃまをしたらだめ。
あー!
ゆうなが!
ゆうながちかづいていく!
うたいながら
ちかづいていく!
おどりながら
ちかづいていく!
おどりで
ちょっともどって
また
ちかづいていく!
だめー!
ゆうなはうるさいからだめー!
ぶーぶー!
そらがいう。
だめ!
あっ
ゆうなも
ほんをよみはじめた。
みんな、おべんきょうをはじめた。
これで
よし!
ああっ
みて!
しーっ!
こえはださない!
まどのちかくで
つららが
もみじをみつめて
ぼーっとしている。
つららも
おべんきょうのじゃまをしない
かしこいこ。
おおきいこえは
だだだっ
ださない!
あのはっぱがおちるとき……
なんちゃって
とかなんとか
ぶつぶついってるの。
つららはえらいねえ。
みんなのおべんきょうがおわるのを
ひゃくかぞえて
よいこでまっている。
あのねー
いいこだからね、
そらが
とんでいって
あそんであげる!
しーっ
そらがとびついても
こえをださない!