さくら

『ヨーソロー』
みなみへきたへ
ほしのきらめく
宇宙のはてまで。
おでかけによいようきで
白とピンクのつぼみもひらいたから
こどもはゆく。
虫が出るのは
ちょっとこわい。
ハチにさされたら
さしころされて
しんでしまうし
アリにかまれても
かみくだかれて
しんでしまうし
ちょうちょがいきなり出てきてびっくりしすぎで
しんでしまうかもしれない。
でも、虫をみたいこ
このゆびとーまれ!
いっしょにはるをよろこぶ
小さなおともだちが出てきたよ。
ちょっぴりかむけど──
げんきなこ
いーっぱい!
なんて
だれかがさそうと
げんきなげんきなおうちのこは
ついついうっかり
ゆびにとまってしまって
たびにでる。
虫がいすぎて
それはもうあんまりいすぎると
こどもは、にげたりするよ。
あせかいてつらくなって
かえってくることもある。
くつのうらがめくれたりね。
草がのびすぎているし
つたはたれ下がる。
こわいことばかりで
さくらはときどき
なみだをこぼす……
でもね。
きれいなけしきは
なみだでよくみえなかったら
もったいない。
あのやまのおくには
なにがあるの?
ほしぞら?
うみ?
おはながひらいて
さきまくりで
それは、まだ見たことがないかもしれないの。
いっぱい見つけたいいものを
おしえてあげたら
よかったねって
よろこんでくれるお兄ちゃんが
さくらのかぞくだから
いいものみつかる
あたたかな
よくはれたはる。
さくらは──
なかまを見つけて
でかけてゆきます!
こまったとき
なみだをふくハンカチはもった?
それなら、だいじょうぶ。
お兄ちゃんにおもしろいものを
おしえてあげるぞ。
きっと、さくらよりもよろこんでくれるの。
いつもそうなんだもの!