海晴

『後夜祭』
と、いうわけで。
夜は更けて
今年も私たちのバレンタインデーが
終わろうとしています。
毎日この日を楽しみにして
相談をしてみたり
密かに心の中に企みを持ったりした
長くて、そして同時に短かく感じていた準備期間。
本番の朝の緊張感と
ときめきと──
きっとうまくいくと思いながら
何の保障もないのに
私たちの胸は甘く揺れる思いに満たされていた。
みんなそれぞれ
自信作の贈り物を用意できた子、そうでない子──
ちゃんと勇気を出せたかしら。
一年に一回だけ
恋する女の子の背中をそっと押してくれる時間。
今はベッドで眠る子たちが
どんな寝顔をしているのか
想像できる人がいるとしたら、
一緒にがんばってきた私たち仲間同士なのか
それとも──
どうかしら?
みんなが一年に一度の勇気を出せたと思う?
恋をするとき
誰だって、それは一生の気持ち。
時間が心の形を変えていくとしても
私と一緒に過ごしている家族は──
見た感じ、大切な気持ちをずっと抱えていると決めている子たちばかり。
それなら今年のバレンタインの告白は
ただの毎年のイベントではなくて
もしかしたら一生分の思いを乗せようとした子もいるかもしれないね。
永遠に変わらないその愛を
残らず伝えきれた女の子も──
こんなに大勢の姉妹には、一人はいるかもしれない。
バレンタインという大切なイベントを
過ごすことができて──
チョコをあげることにもどうやらみんなが成功したみたいで。
たぶん今は私たちみんなの思いは同じ。
楽しかったな!
今日を迎えられてよかった!
本当の気持ちを……
普段は言えない大事にしている気持ちを
私の大切な人に伝えられる日があって
本当によかった。
今日も私は幸せですと──
言葉にするのが上手ではないかも、自信がないけど。
それでも言えることがうれしいです。
あなたのおかげで私は幸せでいられる。
でも──
バレンタインがとってもいい日でも
来年が早く来ないかなって思う子や
勇気を出すのにせいいっぱいで
少し休ませてという気持ちの子とで
そこだけは意見が分かれるかな。
がんばったみんな、おつかれさま。
そんな思いを受け取ってくれた
私たちの大切な人へ
どうもありがとう。
私は今すぐまた次のバレンタインが来て欲しい派!
来年も一緒に
こんなふうに過ごせたらいいね。
それじゃ、おやすみなさい。
食べ過ぎたような気がしたら
明日はヒカルちゃんが相談に乗ってくれるから
どうかゆっくり休んでください。
まだ気持ちが高ぶる夜に
安眠の魔法をひとつ──
はい。
ちゅっ。
愛しているわ。
きっと明日も、優しい笑顔を見せてね。
私たちはあなたの幸せのために
またまたがんばってしまうんです。