吹雪

『ガーダー』
矛盾の例えでは
強い矛から逃げ延びるために
盾が必要なのだそうです。
走って逃げるとか
隠れたり
そもそも恐ろしい戦場には近づかないというのは
とりあえずは考慮しないという前提でのみ成り立つ
限定的な状況といえます。
ただ、それに近い事態が
まったく起こらないとは限らない。
私よりも長く生きる姉たちはよく
世の中は何があるかわからないものだと
わりと頻繁にびっくりしているようですが
どうも年齢と関係なく
予想外の危機に直面することもあり──
幼稚園を卒業し
小学生になってもうすぐ2年。
そろそろ大変なことが良く起こるのだと
わかりはじめまたような気がします。
戦いが始まったとき
私たちはときどき
自分ひとりの力で盾をうまく使いこなさなければならない。
今年も本格的に風邪の恐ろしさと向き合う日々が
確実にやってきたと──
ついに認めなくてはいけなくなりました。
人の体を守るのは
最終的には、人間そのものの強さであるらしい。
つまり体を丈夫にするバランスのいい食事が
私たちには今こそ必要になってくるのです。
体の弱いユキならば
どうしても外の寒さや人混みを避けて
家の中で体調を維持しなければなりません。
適切な行動をコントロールすることは
小さい子供の経験では困難であり
ユキも学校に行きたくてみんなを困らせたり
おみやげの約束をして大人しくなったりしながら
とにかく冬を乗り越えることを最優先に
人間たちは社会的な関係の中で協力していきます。
それでも学校が待っている私たちは
いつも家の中で過ごすのは難しいから
風邪の危険が押し寄せる寒さの中へと
踏み出していかなければなりません。
野菜の好き嫌いがいつも以上にうるさく言われるのも
そういう理由があるからで
納豆は苦手な人もいるから仕方がないという考え方も
次第に変わりつつある。
ましてや食事を残す子がいるとあっては一大事となる
ここしばらくの緊張感。
満腹するまで食事をとったら
多くの生き物は
なすすべもなく眠気に誘われると知っていながら
私はまたしても寒さが厳しい冬の一日を過ごす。
就寝前の宿題も、読書さえも忘れて
予定していた時刻よりもずっと早く
眠りに落ちてゆく可能性と
食べ物が残りわずかとなった皿の
暖かさがまだ残るごはんつぶやスープの残りが
春風姉たちの難しい顔や
今まで試したことのない調理法の相談を
鉦や太鼓を鳴らしたようにたちまち呼び寄せてしまう未来を考えながら
眠気と戦う毎日を受け入れつつある。
私の願いは地球の気候に影響を与えないとわかっていますが
あとわずかだけ暖かくなって
着衣に気を使っていればあまり風邪の心配をしなくてもいい
ほどほどの気温が
この先は続くといいですね。