春風

『新年のご挨拶』
あけましておめでとうございます。
私の王子様。
春風は年末から
王子さまを思って年越しの準備をして
王子さまのために新しい年を迎えました。
それなのに──
聞いてください!
麗ちゃんがひどいの。
もうお正月はそろそろ終わりでしょ、
だって……
でも、それじゃあ
一緒にお正月を迎えられて
うれしくてうれしくて
そうだわ!
年が変わったのもいいきっかけだし
春風はもう
身も心もあなただけのものです。
ああっ、お正月っていいですね。
みたいにお正月にかこつけて
いちゃいちゃするのが
もうできなくなってしまう──
麗ちゃんはたぶん
お正月に飽きてきただけだと思うの。
なんでも計画的で
書初めも一番に終わらせた麗ちゃん。
冬休みの宿題ももうなくて
家の中の遊びもそんなにたくさんないから。
いつもお兄ちゃんを追いかけて
ごっこしていればいい青空ちゃんと違って
そろそろ学校のお土産話を
王子様にも持って帰ってきたいんだと思います。
麗ちゃんも、どんなに好きでも
いつも車掌さんごっこをしているよりは
今日乗ってきた電車のことを話してくれるときのほうが
うれしそうに見えるわ。
でも、そんな都合で
春風は楽しみを奪われてしまう──
麗ちゃんはいいな。
つまらないよーってお兄ちゃんに甘えていられるの。
でも、春風はなかなかチャンスがなければ
そういうわけにはいかないし──
でも、一人でいるのも苦手ではないのに
それでもお正月の楽しさが忘れられないで
退屈になるとじっとしていられなくなる麗ちゃんも
かわいいですよね。
普段は春風と比べて
どっちがお姉さんだかわからないなんて言われるくらいの
麗ちゃんに、吹雪ちゃんも
春風の七草粥をどうぞ。
我が家のお正月の味もこれがひとまず最後。
どうかおいしく食べて、今年も元気でいてください。
よければ大きくなってから作ってみてね。
これが私たちのお正月だといえるようなものになったらいいですね。
そのうちみんなのお料理が並ぶようになる頃
少しお暇ができた春風は
退屈だなって甘えるのも上手になっているよう
がんばります!
いつ叶うかわからない遠い先の目標。
お正月には微妙に合わない目標が見えはじめたら
そろそろ一年の始まりなのでしょうね。
今年もよろしくお願いします。
新年にもう一度、改めて誓います。
もしも許してもらえるなら永遠にいつまでも──
たとえ許されなくても強引に
育み続ける二人の愛でなんとかしながら
春風は王子様のお隣を離れずに歩んでいくの。
一年の抱負よりも早く
もう決めてしまったから
これからも変わらないで続ける夢を見たいんです。