『パワー充電』
わかってた、
そのくらい──
私の力程度では、本当は何にもできないこと。
もうあけましておめでとうもとっくに聞き飽きて
どこに行ってもお正月はそろそろ終わりそうな気配なのに
まだのんきに
食べてはねっころがる日常を送る人がいるの。
しかも、私の家族だけを数えても
だいぶいっぱいいる。
いやまあ、他のところにいるのかは知らないけど。
年明けの気分を引っ張るなら
あの冷たく澄んで背筋が伸びる空気と
初めての朝が開ける感動を──
思い出したらいいのに。
冬休みと三連休がいけないのかな?
私の見たところ
今年はいつもよりもだらだらが長引いている気がするわっ。
とはいえ、
気分を変えるには
何かきっかけでもないとね。
適当な区切りというか
お正月気分はここまで、と切り離して
しまっておけるようにするため。
そういうの、私は得意じゃないけど
いつでも気分を変えて
さあこれから、と背筋を伸ばすときには
お茶とお菓子で切りよく時間を決めてリラックス。
というのがありがちかな。
そこで問題は
とりあえずお正月気分をざっくり振り捨てる目的で用意する
それなりのお菓子に
何を調達したらいいか──などの問題ね。
あまり人気のお菓子を食べてばかりでますますだらだらを助けてもいけないし
ただ自分が食べたいのを買ってきただけだと思われるのもしゃくだし
だからといって固いおせんべいなどは小さい子に食べてもらえない。
わかっていたの。
悪い予感と戦いながら
一人で悩んで答えを出したって
現実の前では何の力もないということ。
ずっと目を背けようとしていただけ。
この時期は何をおやつに買ってきたところで
こたつの上のみかんが神々しく放ち続ける
不動の人気にはとても及ばなかった。
ちょっと考えれば誰でも知っていることなのにね。
暖房でほどよい気温になった部屋は
サクサクと口の中でほどけるクッキーを熱い飲み物でいただくよりも
そっと喉をうるおすみかんの優しい甘みが支配するの。
どうしてもあらがえない
私たちの腕を縛る黄金の鎖。
黄金は言い過ぎね。
まあ、みかん色の誘惑といったところ。
ちょっと高級なクッキーはまだ残っているの。
星が流れる冬の静かな夜を過ごす家族に差し入れをするか
明日のおやつにリベンジするかは
夜がもっと更ける前に
早めに決めておかないとね。
もしかしたら飲み物の香りで誘ったらいいの?
明日はコーヒーや紅茶の吟味から入るのも一つの手と言えるわね。
新しいレールへ
大きく前進していくには
まず余裕を持っての整備から。
緩んだ箇所をひとつひとつ締めなおしていくその時間は
天から降ってくるものじゃなくて自分で用意していかなくちゃ。
私はそうしたいと思うの──それが好きだと言いたい。
別にいいでしょう?