小雨

『楽しもう』
あ──
ない、なくなっています。
どうしても小雨がお菓子をしまうところは
小さい子にもわかっているみたいで。
クリスマスまでとっておけるかな、とか
大勢で分けたらすぐなくなってしまうかなぁとか
考えていたクッキーの袋が
一日で消えてなくなっています──
ごはんの前、おいしそうなにおいがしてきたタイミングで
もう少し待っていてねと声をかけてみると
ちびちゃんたちがかわいいお口をもぐもぐしているのは
小雨が原因のときが多いんです。
すぐ手が届くところに置いてしまうから。
でも、なるべくきちんとしまっておこうとすると
小雨はどこに置いたのか忘れないかと不安になって
よく確かめに行くもので──
それはそれで、すぐ見つかってしまうの。
みんなのために買ってきた分だから
食べられてしまってもいいんですけど
ごはんの前に食べてしまうと
おなかがいっぱいになるから、氷柱ちゃんに怒られてしまうし
小雨がいけないんですって自分から言ったら
悲しくなって、少し涙が出そうになってしまうし
ちびちゃんたちによしよしって慰めてもらったりしたおかげで
やっと気持ちも立ち直ったりで──
いつも情けない小雨ですね。
クリスマスの街はにぎやかで
なんでもおいしそうに見えてしまって
おみやげのクッキーが
海晴お姉ちゃんとかぶったりします。
小雨の土産が食べられてしまった分、
お姉ちゃんのクッキーが守れたらそれでいいかな──
あ、両方食べられるだけかもしれないです。
たくさん用意しておくととっても喜んでくれるから。
小雨のお小遣いはこれで残りわずかなので
あとは手作りのお菓子をお姉ちゃんたちと一緒に
用意できたら、ですね。
どこの隠し場所にもいっぱいに詰め込めるくらいにできるかなぁ?
だからクリスマス会の出し物はお金がかからないもので
ハロウィンの仮装に使ったドミノマスクで
踊るといいよって立夏ちゃんのおすすめで──
踊りも教えてくれるそうで──
できるなら自分がやりたいけど歌があるからと。
小雨の試練はまだこれからで
クリスマスまでにやるべきことがいっぱいあるような気がします。
あの──
小雨、本当に踊るんでしょうか?
ちょっと逃げたいけど、全員参加のクリスマス会ですから。
全然まったく出し物がだめだったらせめて他でカバーして喜んでもらえる方向で
今年の最後まで、なるべく前向きにがんばっていけたらと思います。