ヒカル

『休日』
私たちの学校は最近まで女子校で
今でも半分くらい女子校みたいな感覚。
そこに通うのが、我が家のみんなのお兄ちゃん。
家族からも大変だなーとか言われているのをよく見るぞ。
珍しい存在だから
春風は学校でオマエを見つけたら飛び上がって喜ぶし
そういう環境だから、他の子より少し男の子みたいな私を見つけても
大きく手を振ってきては
われに返ってちょっと恥ずかしそうにしている。
学校生活はどう?
やっぱり男は大変なのかな──
せめてこの学校に少し先に慣れている私が
助けてあげられることが
もっともっといっぱいあったらいいんだけど。
そういう私たちも
休日になると家事の戦力。
容赦なく手数として借り出され
買い出しも料理の支度も
力があるとかおだてられつつ
よく考えると子供たちと一緒にうまく使われている。
家族の多い家では協力し合わないと
いつまで経ってもごはんは出てこないからな。
助け合うのは当たり前だ。
言い訳をして逃げる子もいるし、その分までこき使われるくらいでちょうどいい。
私も昔は良く逃げていたから──
ぴゅーって風を切って遊びに出かけてばかり。
でも、面倒くさくても子供の頃から続けていれば
じゃがいもの皮むきや煮物の火の見張り番や味見役は
けっこう出来るようになるものだ!
こんにゃくは味が染みるように手でちぎって
みんなと細かい作業をしていると
普段のなんでもできる男の子扱いとは違う
上手くできないことばかりの修行モード。
そうか、こういう地道な積み重ねを
世間では花嫁修業と呼ぶのだろうか。
といっても、男の子も混じって手伝ってくれているけれど。
やっぱり今日も大きめに切った煮物と
汁がこぼれるくらいの大盛りの盛り付けは
いつもワイルドなお料理だねって面白がられてしまう。
知らないぞ、そんなことを言ってたら
こういうのでもかまわないって男の子がいたときに
私が一番話が合ってしまうんだから。
開き直って、自分にできることだけでもと思いながら手伝っているうちに
たぶんもう少しだけでも上手になる……かもしれない。
そうしたら、たった一人すぐ側にいる人だけでも手助けできるようになって
ちょっとだけうれしい気持ちが続くお得な一日が過ごせるようになる、といいな。
失敗も多いお手伝いの途中で
やっぱり上手でもない仲間とこっそり顔を近づけて
そういう希望を話し合う一日でした。