海晴

『楽しもう』
一日の仕事を終えて
大学では勉強にも励み
家に帰れば小さい子たちのお付き合いでおままごと。
へろへろになってベッドに倒れこんだら
そのまま眠気に敗れるばかりの毎日──
特に問題はないといえばそうなんだけど
どうせならまだまだはじける若さを生かし
さらに楽しみも充実させていきたい!
と、欲を張るのは無理もないことよね。
だけど、それなのに、ああ──
図書館で選んだ流行の小説を開くと
まもなくまぶたは重たくなり
新しく挑戦するスポーツはよりどりみどりでも
準備運動の段階ですでに
もういいか、よく動いたからと一人で納得し──
映画のDVDも新譜のCDも人気のゲームも
はじめのあたりでまあ、疲れが取れたときに
などと考えるようになり。
どうも年を重ねると
面白がるのが下手になってきた気がするの。
早く帰りたがっていたら、遊んでもらう友達にも悪いし
かといって気ままに好きなことをしたくても
体調と相談したり時間を気にしたりしていると
まとまった時間をとっていずれ、が口癖になる。
いつやってくるの!?
私のまとまった時間!
睡眠を削って遊ぶには日々は忙しい……
いえ、忙しいのはありがたいの、わかっているのよ。
というわけでまあ
できれば世界を広げたいけど
なかなか機会がなくてもどかしい
予定の立て方がどうも不器用になる、大人未満といえる頃。
こういう時期を乗り越えて立派になるには
他の人がどうやっているのか
困ったことに私の周りには参考になる人が
同じ悩みを共有して一緒に首を捻る同年代か
あるいは、お気楽なママしかいないわ!
急に何も考えないで気楽にやろうっていうのも難しいし……
しまった、悩んでいたらまた
眠気がふわふわどこからともなくやってきて
楽しく心地の良い夢の世界へと私を誘う。
夢の中では弟くんが現実よりも少し大きくて頼りがいがあって
がっしりした体で私を驚かせる──
って、あら?
まあ、私の都合のいい夢の中ばっかりじゃなくて
よく見るとちょっと大きくなったんじゃない?
きっとそう!
それとも、もう夢の中に落ちてしまったのかな?
だったら今だけしかできない願いを叶えてみたくなっちゃうな。
時間を忘れてなんでもできるのが
もう目を閉じているときだけになりそうなこの頃──
欲張っていーっぱい遊んでもらわないと後悔してしまう!
朝が来るまで、いつまで続くかわからない時間の
とても難しい有効な使い方。
甘く夢見る願いをつかまえるのは、大きくなってからが
本当は切実な悩みのようです。