立夏

『スマイル』
ついに通り過ぎていったねえ。
これで夏の終わりの台風になるのかな?
それとも、今日みたいな暑さが続いたら
夏なんてずっと終わらないみたいに
たまの土砂降りとすがすがしい青空がくるくる入れ替わってばかりいるかも。
ゆうべ、ベッドの軽い掛け布団を整えて
眠くなるまでいい子で待っていた時間に
いよいよ激しくなってきたあの恐ろしい雨は
いきなりやってきたのと同じくらいに
いなくなってしまうときも予告もなくあっさり。
細長い日本列島を旅する間に
力を使い少しだけおとなしくなってしまったんだって。
近づいてくる頃には間に合わなかった
リッカたちみんなの願いがやっと!
パワーを運んだのかもしれないね。
そんなことを言うとね
リッカちゃんは本当に前向きでいつも明るい考え方だな、
別に放っておいてもだんだん弱くなっていくもので
願いの力なんて全然ありえないのになーと
麗ちゃんたちがあきれているよ。
そりゃ海晴おねーちゃんのお天気予報は
いつもぴかぴかの笑顔の予報で
晴れが大好き!
だいだい大好き!
ってよく
その場で作ったみたいな歌詞を歌うから
テレビのこっち側でも、リッカがうれしくなって踊り出し
ほんとにそうだーっ
海晴おねーちゃんがこんなに明るくてきれいなんだから
お天気もそれに合わせて晴天続きになるんだと
勝手に決めつけている。
雨が降りそうで残念ですねーってほほえんでも
きっと一番の笑顔で待っていたら
お日様だって明るい日差しでのぞきこまないではいられないと
そんな気分になってくる。
で、だいたい現実はどうにもならなくて
びしょびしょになる足元と傘からはみ出て濡れた肩。
どんなに晴れて欲しくたって
願うだけではどうにもならないのはもうよくわかっているんだけどさ……
だけどいつも一緒にいてくれるオニーチャンに
リッカの持っている力で
大好きなとってもきれいな青い色を見せてあげられたら
なんかいいじゃんって思うじゃない。
そんな力なんて全然一つも
元気いっぱいの体でも持っていないのを知っているのに
だって……
もしも晴れて喜んでくれたら
それってすごくいいんだもん!
と、なんにもできないことを忘れたふりをしてみる。
どうやら──
今日の汗びっしょりで暑すぎるくらいのすばらしいお天気は
リッカとみんなの力で
ちょっとやりすぎた感じに全力で
もぎとったものだって気もしてきたでしょ?
こんなまぶしさの中を今日も歩きたかったんだ。
笑顔で大好きって言ってばかりいたおかげだね。
リッカがいてよかったね!
ピース!