春風

『デザイン開発中』
寒くなったり急に暑くなったり
朝昼晩、落ち着かないお天気のこの頃。
ちょうどよく気温に合わせた服を
ぱっと用意してあげられたら
かっこいいですよね!
簡単なことではないかもしれないけれど
試しにやってみようとする
やる気のその瞬間が来たんです。
さて、思い立ったらまずは
順番に並んでもらって
背の高さとサイズを測ることから。
おいでと呼ぶと
全速力で転がってくる小さい子たちは
急いだから汗をかいて
期待に輝く顔がまるごときらきら。
まずは落ち着かせ
ぴんと背を伸ばしてもらわないと。
続いて胴回り、袖の長さにそれから股下も必要ですね。
正確に計るつもりで
薄着に脱がそうとしたらはしゃいで喜ぶの。
そういう遊びじゃないのにね?
じっとしているのが苦手な柔らかい手足は
薄くなった日焼けの後が
まだ少し消えないで残っている。
海に行ったときの
かんかんの太陽にパラソルを広げた真下の水着の跡も
走り出しながら帽子をつかんで何かを探した
木漏れ日の庭にいた記憶も
消えそうになりながらしぶとく残っています。
涼しい日が続いたような気がしていても
夏は通り過ぎていったみたい。
春風もつられてはしゃいだ分が消えずに残ったかも。
もうすぐ順番が来て計測してもらうとき
きっとからかわれてしまうわ。
いっぱい遊んだね、とか
落ち着いて日陰に隠れる余裕もないほど
楽しいことばっかりだったね、って。
でも春風は今日もまだ
たくさんきれいな服を作って
喜んでもらうんだからと
夢中になっています。
うまくいくのかしら。
子供みたいにはしゃぎすぎていないかしら。
まだ目の裏にまぶしい光が残っている気がするのと同じように
なんだかまだ夏に負けないって言っていた毎日が
終わっていないような。
弾みだした胸の鼓動は今日もそんな気がするそうです。