立夏

『床が友達』
ふぅ
ふぅ
ぼえええ……
まいにち楽しいことを探すリッカだよ。
このごろ暑さが続いて
それでもう
はしゃいでもはしゃいでも
あー
ねむぅい。
体がお昼寝を
求めているよぉ……
お盆になって
ご先祖様にだらしないところは見せられないと
海晴お姉ちゃんも霙お姉ちゃんも
おうちのお手伝いに大忙し。
草むしりしたり蚊取り線香の長持ちする時間を見つめたり
活躍しているヨ。
床にくっついたリッカとはずいぶん違うね。
うとうと魅惑の気持ちよさに
眠りのとりこ。
気がつくと目の前を
まっくろ働き者のありが通り過ぎていく。
窓の外で小さいクモが巣を作り始め
それを小雨ちゃんがほうきを持っておろおろ見つめている。
ああ
みんながそれぞれに
生き生きとした
自分を見つける夏休み。
お盆の一日。
おなかをつめたいフローリングにべったりの
まったくリッカは
しょうがないなあ。
ぐー……
すやすや。
いつまでも
こうしていたくて。
あー
どこかから
涼しい風が吹いてきたから
何をするにもいい感じ。
お昼寝だってはかどるんだぁ。
雨粒のリズムが弾むと
洗濯物をまとめる声がする。
傘を叩く音に混じる
お買い物のお誘い。
小さい子供は
自分に素直で
そよ風の誘惑に負けて
眠り続ける。
暑い日を過ごした後の
気持ちがいいお昼過ぎ。
傾いたお日様の影が
風鈴を鳴らす。
静かな寝息で横になれそうだから
人が通りかかる気配がして
こっそりおどろかせるまで。
すやすや鼻息だけを鳴らし
今はおとなしくしているよ。