星花

どうぶつの国
小さい子供は
いつだって動物が好き。
寂しいときにも遊んでくれるお友達なの。
人懐っこい小犬、気の強そうな小猫、
みみずもかえるもありんこも
小さい頃は区別はしません。
ただ一緒にいてくれるだけでいいの。
だから、図鑑やテレビを見て
想像をめぐらせたりするのも楽しいものです。
いつも触ったりできなくてもいいの。
そういうものがいるとお話を聞くだけだって
世界に人間は一人きりじゃないと教えてくれる
大事なきっかけ。
怖がりのときも泣いてしまいそうでも
子供は動物がいてほしいんです。
女の子は
いつだって動物が好き。
だと聞きます。
小さく健気な体が一生懸命だともうそれで
いつくしむ気持ちが自然と湧き上がる
のだそうです。
星花は子供の視点の好きなんだと思うし
あと個人差があるほうの
だいぶ好きな性格であるみたいで
たまにみんなで集まって落書き帳を埋めつくそうと挑むときには
けっこう真ん中にいて
がんばっているのです。
そういう時の
鳴き真似や動きをなぞるのは
どうも不器用で明らかに人間の声であったりぎくしゃくぎこちなくて
にゃあにゃあわんわんばさばさもぐもぐの合唱に
にゃ、
にゃー。
人間の女の子が一人混じってしまう落ちです。
白黒のパンダも
鳴き真似の特長がある感じでもないから
丸い耳と鼻は落書き帳の中で
大きなお母さんパンダとお兄ちゃんパンダを探し
すぐに見つけて甘えだす
そういうお絵描きで──
今日もまた
上手でしょう? って見てもらい、自慢をしたりしました。
しかしこんなに大騒ぎだと
天が赤く染まり、凶兆の星が流れ
人々が嘆き悲しんだときに
その声が英雄に聞こえなくて到着が遅れてしまうかもしれません。
そうなると危機を助け合ったり、お互いを認め合ったりする機会が失われてしまったりして?
でも流れ星は澄んだきれいな夜空に祈りを届けるものだと聞きます。
真っ赤な夕日は歴史の変わり目を告げる黄昏ではなく
誰かが待っていてくれる我が家に帰る時刻の合図。
寄り道をしないで
すました小猫もどこかのパンダも上手におだんごを結んだ女の子も
急ぎ足で帰宅の途へ。
大きくたって小さくたって
暖かい部屋が待つ家を探す。
暮れまでの時が伸びていき
西に暖かな色が日ごとに鮮やかに灯るこの時期は
どんな動物の子供たちでも歌う声が
街のあちこちから聞こえるようになる頃です。