『回転』
明日は春休みのビッグイベント。
別に鉄道博物館に行くわけでもなく
ラッピング電車を見に行くわけでもない
どこにでもある何の変哲もないお花見。
みんながこの時を待っていて、
それに学校は6日からになるので
おそらくこれを逃すとあまり盛り上がらないで終わる
良い子たちにとっての一番の山場。
らしいわよ。
お休みってそんなに盛り上がらなければいけないものじゃあ
ないと思うけど。
そう言ってる人がいるからには仕方がない。
桜の花はきれいだけど
別にずっと見つめているものでもないと思うけど。
もしや、人によっては何かがあるのかも?
芸術分野のひらめき、
科学研究における大発見につながる、など。
まあね。
何とかして気をしっかり持とうとして
仮にそんな歴史的な偉人が生まれるイベントだとしても
私が行かないといけない積極的な理由は何もないの。
でもしょうがない。
わざわざ水を差すのも無意味で得るものはないし
それに午後からはくもり、
ところによってはにわか雨。
大騒ぎも長く続かないと思う。
いいんじゃないの。
だって、にぎやかなお祭り騒ぎというものは
終わった後の寂しさも必ずついてくるおまけのひとつ。
だからといってお祭りに行かないなんてことは
うるさい私の家族たちはしないんから。
花が開いたピンク色の観察や、外で食べるいつもと違うお弁当の味に
飽きが来ないうちに戻ってこれるでしょう。
すると、このお出かけの場合
行く先やお弁当のおかずの相談には特に興味がなかった
この私が持っていくべきは
ちょっとした防寒具に雨具くらいかな。
あると便利でしょ?
使わなかったときにはジャマだというのはおいといて。
濡れて風邪を引くほうがジャマよりはマシだからいいか。
天気予報からを推測の材料にした場合
そういった備えを必要とする場面がやってきてもおかしくはないと
氷柱姉さまとも意見が一致したからね。
いろいろな条件を考えて
大騒ぎがいくら面倒くさくても
どうやら忍耐は持ちこたえそう。
わざわざ逆さのてるてる坊主を吊るすほどではない、と
安心していたのに……
状況はどこで変わったのか
どうして今度は華麗な半回転を果たそうとする
普通に笑顔のてるてる坊主、
そんなおまじない作るお手伝いの一段に引っ張り込まれているの?
これって頭はきれいで形のいい丸にしたほうが効果があるのかしら。
どう思う?
作り方に詳しい人がいて
あとついでに暇そうだったら
腕をつかんで仲間に引きずり込んでみたら
話が進んでいいんじゃないかな。
なんか……不本意にも
お祭り前夜みたいになってしまうけどね。