『暴れ牛』
どどど
どーんっ!
などと
小さい子たちがお庭を走り回り
お姉ちゃんたちを見つけると
どんどん突進をしてきます。
大声を上げて
おーいって呼びかけながら
スピードを緩めず
方向転換も考えないみたいに
ひたすら
まっすぐに!
ぶつかって困らせてしまうと
繰り返しているうちにわかってくるのに
それでも止められない。
走っていくことに
そんなに魅力があるのでしょうか?
お兄ちゃんはわかる?
星花はそろそろ
無茶な子を見つけて
止めるお年頃。
警笛を鳴らし
そこまでです!
きりっと決める子。
警笛は口でそれっぽく言うので気分だけですが。
みんな怒られちゃったら
逃げながら
素直にはーいってお返事をしてくれるの。
明日くらいまでは大人しくなるかなあ?
星花も小さいときにはあんなにうるさかったのかな?
小さいときは
やっぱり子供だもんね。
うーん、でもさすがにあそこまで無鉄砲で行き当たりばったりで
まっすぐ進むことしか知らないみたいでは
なかったかなあ。
海晴お姉ちゃんとそんな話をしていると
え!
って
びっくりされてしまうの。
お口をあけて
え!
両手をひらいて
ええっ!
星花ちゃんはもっと男の子みたいに元気で
毎日止まるのを知らないかんじ!
手に負えなかったよ。
海晴お姉ちゃんはそう言うけど
本当なの?
それどころか
今でも星花ちゃんは
わりと元気で
目を離すと暴れているよ。
まわりをけっこう振り回しながら
突き進んでいるよ!
そ、
そうかなあ──
ただちょっと
憧れの人が立派なだけで
追いつけそうにない気がしたら
なんのーっ
って思っているだけです。
今日だってちょっと
暴れんぼうたちを追いかけ回して
へとへとになった時に気がついてみると
もう上から下まで
ほこりでぼろぼろになっていたことが
一回だけあった……
それくらいなんだからあ。
たいして暴れてはいなくて
明日は気をつけようとちゃんと考えているので
これから先はたぶんそれなりに
大丈夫じゃないかなと期待をしてもいいと思います!