海晴

『冬の天使たち』
山間部に大雪を運んだ低気圧が過ぎ去り
冷たい雨で濡れた私たちの街は
今日は午後から冬晴れのいいお天気。
こうなると、はしゃぎ出す小さい子たちは
雪は降らないの?
このあたりは積もらないの?
まるでお天気お姉さんが雪を降らせる力があるみたいに聞いてくる。
いくらなんでも
さすがに勉強中の私では
雲を呼ぶのは無理っていうか
それは観月ちゃんにお願いしたほうが可能性は高いかもしれない。
雪が降ったら足場は滑るし
そうなるとみんなが転んで怪我をしないか心配になるし
大変な雪かきもある。
いいことばかりじゃないのに
やっぱりたまには積もった雪を見たいようで
冷たい風が吹くと
期待がふくらむ
面白いことを探してきょろきょろしている年頃なのね。
去年の雪の写真を見せてあげて
またパンツが濡れてしまったら困るでしょう?
お天気ならそのほうがお姉ちゃんは好きだな、
では解放してくれなくて
そんなことは忘れちゃった!
で押し通す
強引な──
誰に似たんだろう?
それに冬が近づくと自分で選んで買っていた
厚い靴下
パンツの替え。
本当に忘れているには適切で頼もしい行動ね?
それとも必要なことは学習したら結構忘れないのか
寒くてお風呂に向かうまで廊下がびしょびしょは
お姉ちゃんたちが
もーって言いながらお掃除を続けないといけなくなるし
すると早くみんなでおやつにしたいお風呂上りの子たちだって
タオルを持ってばたばた忙しい。
でもお掃除が上手になるにはまだ早いみたいで
タオルの山がうず高く積もっていくことが多い
そんな雪の日。
髪の先から靴の中まで
びっしょり真っ白の騒がしい景色は
私の予報によると
うちではもう少しの間
しばらくは見ることができない、
ということです。