『新年の目標』
あけましておめでとうございます。
晦日が過ぎていくあの日、0時を境に
生まれ変わった新たな年。
新鮮な気持ちで誓いを立てるには
今が一番ふさわしいからって
新雪のように真っ白な紙と向き合い
自分の気持ちをまっすぐ見つめた
元旦から──
もうすぐ七草の待つ日が来る。
あのときは
どうせ本当の気持ちなんて書いても
かなわないって一人でこっそりすねてみたりもしたけれど。
時間が経って落ち着いてくると
ふと心の中に生まれる気持ち。
それはまあ
今がふさわしいのは間違っていないことね。
半分は諦めで
もう半分は、適当にその場をやり過ごして
つまらない偽りの誓いから解放されるのを待てばいいと
そのつもりだったはずなのに。
もうどこにも忍び込む余地がない心の中に
ほんのちょっぴりだけでも
真剣に自分に問いかけようとした無垢な感情が
すっかりひねくれて愛想も悪くなった面倒くさい子にも
顔を出したらしい。
新年六日。
まもなく年が明けて一週間。
そんなつもりは全然なく
ただ、お正月の朝の雰囲気が
いつもよりも
厳しく張り詰めた
凛々しいものに感じたことだけが
年明けの思い出だったのにね。
姉さまたちから目を逸らしながら誓いを立てた
一日一善。
そのあとすぐに部屋を出て行って
羽根つきで遊んでいるうちに忘れていたら
ただの部屋掃除をいつもより少し熱心にしている時に
いきなり言われたんだもの。
小雨ちゃんの記憶力はあんがい油断できないのね。
だからあなたの新年の誓いもきっと覚えていて
油断なくチェックしているはず。
もしも誓いを破っているのを見つけて
気持ちの優しい小雨ちゃんが指摘できないような様子でいたら
私が糾弾に飛び出していくことになるのかな。
新年の目標も、うかつに決めるわけにはいかないの。
ああ。
私──
今日の分の一日一善は完了済みだから
もしもすでに悪いことをしていたら
見逃してあげないから
そのつもりで!