観月

『氷の園』
まぶしい初日の出と共に
年が明けて
三が日もきのうでおしまい。
これでお正月気分もなにもかも
また来年までの辛抱なのじゃ。
あとはのこったおもちを切って
あったまるお雑煮をいただくのが最後の名残り。
しんと突き刺すような寒さの中にも
どこか清浄さを感じた日々も過ぎ
もはや寒いのは
ただの冬のせい。
風邪を引かないようにうがい手洗いに気をつけたり
元気な子供たちの声が風邪に響き渡る
いつもの冬景色が戻ってきた。
もう三日目あたりには
そろそろお正月はいいか、と見切りをつける飽きっぽい子があらわれるので
ありがたい年のはじまりのよろこびも
いったん心の奥にしまって
ふと何かの拍子にたまには一年の目標を取り出して向き合えるくらいに
とどめておくのが良いのかもしれぬ。
どうせお正月を言い訳にしようがしまいが
こたつから出て来ぬ子はどうやっても出てこない。
それぞれの冬の日常がどこにも戻ってきた。
よく見れば密かに
棚の飾りに一輪咲いた花は新しいものになっていたりする。
新しい年の神様が野山を通り過ぎて
はしゃいでいた大地の精が
またみんながちゃんと春まで眠っているか見回りのお仕事。
冷たい風の中にも
葉を落として耐えて揺れる枝にも
それぞれの過ごす冬は戻ってきて
またお外で駆けるみんなのまわりで
日が暮れるまで遊んでくれる日々。
今度は梅がひらくまでの長い間、変わらずに続くことになる
厳しい季節に生きる
ぽっと明かりが灯るような愉快な笑い声。
一休みしてうつむいてしまうと
忍び寄る暗い影が早足で近づく油断のならぬ時期でもある。
やがてうつろい取り戻せなくなる白い日々を
今は夢中で転がりまわって
体中でぶつかっていれば
いつか水がぬるむ日差しへ変わりはじめるときに
きっと最初に気がついて
兄じゃにお知らせできるさとい子になれるであろうと
わいわい大声を上げながら
期待をしているただの冬の日じゃ。