『おせち料理の残り』
三段の重箱も
だんだん残り少なくなってきましたね。
入りきらなくてはみでてお皿に乗った分もほぼ消化済み。
最初は見慣れない食べ慣れないものが多くて
おっかなびっくりで箸が進まなかった子がいても
みんなにつられていつのまにか
お気に入りをいくつか見つけ出していたみたいです。
毎年人気のだて巻きと栗きんとん。
陰で支える姿を好きな人は多いごまめや黒豆。
意外な愛嬌で一部にファンを持つにしんの昆布巻きに酢だこ。
朱塗りの世界を囲むと
食べるみんなのほうで
今まで気がつかなかった好みが見えてくるかのよう。
特別な日ならではの品揃えだから
普段はわからない姿が見えるみたいです。
箸でつっついてみて怒られながらも
見た目で味がわからないあれやこれやに
お正月だから
新しい挑戦をしてみる勇気!
なので。
子供だらけのお正月は
いつも騒がしいんです。
お兄ちゃんは、にぎやかなのは好きかなあ。
ゆっくり過ごせる静かなお正月は
我が家では想像の中だけの夢のまた夢。
だれひとり──
初夢にすら見ないほど!
でも、お兄ちゃんが年末年始で少しお疲れになったら
星花がさりげなく
おしとやかにーって注意をしてみたりも
できますけど……
それで静かになるかどうかは自信がなくても
お役に立ちたい星花がいることを
忘れないでね!
いつもとは違った服で
きりりと気を引き締めて
お正月ならではのお食事でわいわい言っている。
日常ではないのに
仲のいいみんなと過ごしていると
やがて、いつもよりちょっとざわざわ落ち着かない気がするこんな景色のお正月が
大人になったときに続けていくようになるんだろうと思ったり
知らない場所で私たちの知らない形で新しい年をお祝いする人に出会ったとき
これが日本のお正月ですって
今見ている景色を
私たちの特別な日の過ごし方を紹介するのかなと
珍しいことだらけのお正月にはしゃぎすぎているみたいに
ふわふわ想像をしています。
ハロー、世界のみなさん。
私たちはそんなふうにお正月を過ごしています。
おせちがだんだん減っていくときに
好きな物の数を数えてひやひやしたり
えいやっと思い切って箸を伸ばしては
予想外の味や歯ごたえとたたかい
よく噛んだりしている日です。
お兄ちゃんもいてくれて
お正月だけのかるた遊びもしてくれるの。
となりで新年をお祝いしてくれる人がいる
星花たちのお正月。
知らなかったこと
うれしいこと
驚いたこと
大変だったことを体験しながら
新年を迎えていることを
いつか誰かに話してみたい
そんな想像をしている子がいる
広い世界の片隅のお祝いの景色が
ここにあります。