『もうすぐ』
クリスマスは
歌を歌って
ケーキを食べて
みんなで遊ぶのよ。
サンタさんがプレゼントを
眠っている間に枕元に置いていく。
いちばん欲しいものが届くの。
まあ靴下の大きさでは
入るもの、入らないものがある。
だから、サンタさんが手を抜いたという見方をするのはは違うわね。
うん。
なにしろその日はクリスマス。
お部屋には届いていなくても
家族といられる時間があるわ。
がっかりする必要なんてどこにもない。
一緒に並んでテーブルにつきましょう。
みんなも
その日のために、お手伝いしたもんね。
きっと神様は見ているわ。
はい。
などといったような
たわごとを。
なんとか言い聞かせても
小さい妹たちにはわからないけれど
どうにか説得をしようとしないと
納得なんてしてくれないのよ!
お願いをするときに
予算がかかりすぎる、
靴下に入らない、
ひとつだけと決まっているなんて
どうしてそんなことをお姉ちゃんたちは気にするの?
少し──
疑問の目をしている気がしてしまうのは
こちらの心の中に原因でもあるのかしら?
心当たりはないはずなのにね。
小さい子の願いは果てしない。
どうにかしてこちらの説得をかいくぐっていこうとするの。
なぜ私がサンタさんの代わりにあわてているのか──
世の中は謎が尽きないわ。
小憎らしいことを言い出したら
たぶんそれが生まれて間もなくても
自分で考えて
世界を作り出すときのはじまり。
人間には
想像力というものがあるそうね。
私は、現実と呼ばれる何かしか知らないわ。
現実は
大人になると、親しい人同士で互いに贈り物を用意したりするらしいの。
友人、恋人──
サンタさんごっこかしら?
大きくなるとそうしたくなるみたいね。
私もいつか
本当に一番欲しいものを届けてくれて
こちらからも、きっと大事にしてくれると思ってあげたいものがある相手が
いつかあらわれるのかしら。
その時になったたら
今度こそは本当に
願うのは一緒にいる時間だけだと
そんなことを言うのかしら?
うーん──
ああそうだ。
今年のクリスマスは
メニューのリクエストをまだ受け付けているそうよ。
無駄に空想の翼を羽ばたかせるより
そちらに頭を悩ませるほうがまだ有意義な気分になれるわね。