春風

『夢のようなひととき』
厳しく冷たい季節は続きます。
午後になって日が傾きだすと
明るいはずの昼の光が
なんだかいつもより弱く思えて
私が強くて頼もしい日差しを待っているから
余計にそう感じてしまうのか
眠りを誘う
さみしい輝き。
一年も終わりの時期が来て
夜のように
これからしばらくは、しんしんと澄み渡った空気に包まれるの。
春風が元気になる
春が来るまで
もう少しの間大人しく──
ゆったり時間の流れる冬にいます。
もうすぐにぎやかなクリスマスも
年越しもやってくるけど
師走の日々は
普段は意外と静かに流れていくときも
あったりするのね。
そう!
こんなときだから!
なかなか元気が出ないときだから!
そう簡単には
風邪が吹き飛んではいかないのだから
それは風邪がきっちり治る最後の最後まで
無理は厳禁、
見ていてあげたい人がいますので
なんとしても頼ってもらいますの姿勢
なのだから
春風がついていてあげてもいいと思ったんだけど。
そうですよね──
王子様がそばにいたら
そりゃあうれしいし
元気百倍ですよね。
ひゃく!
さくらちゃんたちにはまだ
考えようとするだけで途方もない
想像もつかない数字がでてきました。
天文学的というのかしら。
星がひときわ輝く12月だから天文学的の言葉こそが似合うと。
うう……
春風もね
風邪になったら早くよくなるように
二人っきりになれる
贈り物があります、
サンタさんは見ているから
欲しいものを全部真っ白で大きい袋に入れて持ってくる、
というおはなしは
いつも良い子で無理をしがちで
みんなが心配しているりっぱな氷柱ちゃんだから
もらえたものなんだから──
春風が真似をして
あら
熱かしら
などと、しらじらしく言い出しても
おへやでひとり……
ずっとひとり……
そんな気がしてならないんです。
それとも
冬のさみしい光が
春風のいつもの元気に悪さをしているのかしら。
本当はちゃんと
見ていてくれているかしら
私のサンタさん──
春風は今日も健康で
家の中はようやく
健康的な子供たちがそろって
あっちで一騒動
こっちでゆっくりしている春風が
次に何かが起こるまで
ぼんやり
氷柱ちゃん
いいことあったんだ
うらやましいなあ
などと
余裕があることばかり思いが巡る、
忙しい気がしていた12月の隙間みたいな
窓辺の静かな光の景色。
うるさいほどにぎやかな声が届く
とくに何事もない
冬の一日です。