虹子

『とりのこえ』
じりじりやける
まなつのきせつがおわってしまったら
あんなにうるさくみんみんないていた
せみ。
どこにもいなくなってしまったの。
おうちにかえったのかな?
うるさくて
とぶのがにがてでぶつかってくる
ちょっとこわいせみ。
ことしも
にじこをたくさんなかせたせみ。
いなくなると
にじこはちょっぴりさみしい。
みーんみーん
じーじー
ざわざわざわ。
こんどあついあついひがくるまで
もう、いっしょにおおごえをだせないね。
ひとりでちいさいこえで
みーん……
みん……
しゅーん。
おや?
さみしいにじこがひとりでいると
きこえる。
このこえは
りーりー
かなかな
ころころころ
すずをならす
あきのむし!
わあー
すっごい
りーりー
うるさい……
とおくからきこえるこえ。
ちかくにいったら
やっぱりすごいの?
よるにならないとでてこないの。
ねむるときだから
にじこはすずむしのいる
おやまにいけません。
おひるはやっぱり
さみしいし……
そしたら
ああっ!
きれいなはねが
きにとまってる。
あかいはねがはばたいている。
じょうずにとんでる──
とりがきた!
せみがいたおおきなおにわ。
せみがいたおおきなき。
じわじわあつくない
こおろぎもいない
にじこのおひるは
もうさみしくない
とりのいるおにわがいっしょなの。
おうちのみんなも
わいわいよろこぶよ。
おうちのなかと
おそとあそび
にじこのまわりはいつも
うるさーい!
です。
うふふ。