さくら

『おもち』
おもちのおやつは
いただきもの。
チョコがかかっているらしいの、
どこかのおいしいおみやげなんだって。
さくらのおやつはおなし。
しゃくしゃくかんで
あまいおなし。
テーブルにあるのは
おもちのはこ……
からっからっからから
からっぽのはこ。
ひとつもない。
あるのはのこったつつみがみ。
それを見ている
こまったこまったりっかちゃん。
みんなでわけようと
ママからもらってきて
はこをあけてなかみをかぞえていたら
そのままぜんぶ食べてしまったりっかちゃん。
うわあー!
こまったね……
おこられるよ……
おかしがあったら
食べるよねえ……
りっかちゃんがわるいんじゃないの!
おいしそうで
それなのにちょっとだけしかはいっていない
おみやげのおかしが
きがきかないの!
やさしくなればよかったね。
ちょっとだけすきなひとのきもちになれば
いいだけなのにね。
おかし。
おもちでチョコ。
おいしそうなのに
すなおじゃないのね。
きっと、みんなにおいしく食べてほしかったのに
すくなかったなんて。
でも──
おかしもほんとうはわるくないよね。
おいしかったんだから。
いけない、だれもわるくないのに
りっかちゃんがおこられちゃう!
つららおねえちゃんが
食べすぎ!
って、ほえるよ。
どうしよう?
小さいさくらと
くいしんぼうりっかちゃん
泣きそうになる
すっかりからのはこ。
あ、そうだ!
りっかちゃんがちゃんと
さくらといっしょに
たべたことにすればいいよ。
ふたりでおいしく
わけました。
たべすぎじゃないでしょ?
りっかちゃん
泣かなくてすむよ。
つららおねえちゃん、聞いて!
さくらのおはなし聞いて!
あー、おいしかったな。
まるまるふとった
チョコのおもち。
あまくって
とろりとして
もう、おなかいっぱいだ!
おばかぽんぽん。
ぐうーっ。
あれ?
チョコのおもち、食べたばっかりなのに
もうおなかがなった!
からのはこ、
さくらがごまかせたはこを見て
つららおねえちゃんは
だいたいわかっている、だって。
りっかちゃんが大食いなのも
さくらがぶきっちょなのも──
だって。
だいたいわかったつららおねえちゃんがね、
なしならまだあるから食べればいいじゃない
だって。
むいてあげるから。
りっかは──
ちいさくむいたの、いっこだけよ。
さくらにめんじて
こんかいだけよ。
よかった!
さくらは
ちゃーんとうまく
ごまかしました。
りっかちゃん、よかったね。
めでたしめでたし。
しゃくしゃくおなしと
さくらのおもちのおはなし。
聞いてもらえるように
お兄ちゃんもよんできて、みんなでたべよ!