『青葉のころ』
暖かくなった日差しを喜ぶみたいに
花の色に染まっていた景色。
今ではずいぶん
緑の色も増えて
明日は気温も上がるそうです。
小雨がぼんやりしているうちに
いつもみたいに一番きれいなころが過ぎて行ったような気がするけど
今年はお兄ちゃんとお庭に並んだとき
勇気を出して、
きれいですね!
お花!
ってお話ができたので
もう何もいらないほど
胸がいっぱいになる思い出の春だったんです。
これからだんだん
ただ暖かいというだけで喜んでいた時間が過ぎていき
次第に暑さでへとへとの夏が来ると思うと
おそらく小雨はまた
たいしたことがない困りごとに気を取られたり、とか
気がついたらとか
知らないうちに
いつのまにか夏らしくなっているのを知り
おろおろするような
そんな未来が今から目に見えて
早くも落ち込むときがあります。
いえ、しっかりしないと!
今から失敗の予想ができるということは
早いうちに対策を寝る時間があるので
それを有効活用できるかどうかは
全く自信がなくっても
とにかく、泣いているばかりじゃなくてできることはあるかもしれないし
そう思うだけで本当はないかもしれないし──
ともあれ、これから暑さがじわじわと迫ってきて
お疲れの日が増えていったら
ふだんから弱気で心配されがちな小雨は
ますます迷惑をかける頻度が増えて
泣き出したくなることが多くなって
暗い影に引っ込んで丸くなりながら
しっかりしたい気持ちだけはあったのに……
と、本当かどうかもわからない後悔をしそうだから
とにかく元気だけは出してみようかと考えているところです。
聞いた話によると
空元気も元気なのだということだけど
そんな空元気ですらなかなか詰まって出てこない
期待はずれの小雨ですから
もう少し具体的な方法がいいかな、と
スタミナを育てるごはんを作れたらいいなって思ったの。
そしたらキッチンに入って
ホタお姉ちゃんにお願いしてたくさんのことを教えてもらっているうちに
あまりに知らないことが多すぎる小雨は
覚えることのあまりの多さにめまいがして
ほとんど何にもしていない途中の状態で
まだ夏でもないにすでに青い顔でふらふらしていたのです。
急ぎすぎたみたい。
こういうのって
目的のためであった手段が
むしろメインになってしまって
いっぱい食べるためのお勉強によって
かえって疲れてしまったみたいな……
そういう迷走は
ホタお姉ちゃんも、よくあることだよって励ましてくれたので
なるべく目的を見失わないで
したいことを大事に心がけると
いいときもあるし
かえって目的のために手段を問わない傾向で
暴走するときもある
のだそうで
気をつけて!
というアドバイスでした。
小雨……気をつけます。
明日からもゆっくり夏に備えていくので
疲れを残さないようにリラックスして早めに休むのが
小雨の今の課題です。
好きな本を少し読んで
ぬいぐるみの手を握って
お兄ちゃんにしっかりおやすみなさいを言えたことや
ホタお姉ちゃんにありがとうと言えてよかったと振り返りながら
ずっと元気とはいえなかったけれど
どうにか明日に向かっていける
前向きな気持ちの貯金を
みんなのおかげでプラマイゼロまで持っていけた小雨でした。
一人だったらどうなっていたかと考えると怖いから
そういうことは頭から追い払っていきます!